おふくろさん騒動

おふくろさん騒動

概要

おふくろさん騒動とは、作詞家の川内康範が作詞した楽曲「おふくろさん」に、歌手の森進一が無断で新たな前奏部分を追加して歌唱したことから発生した著作権問題である。この騒動は2007年に大きな話題となった。

2006年12月31日、NHKの『第57回NHK紅白歌合戦』において、森が「おふくろさん」を歌唱した際、そのオリジナルには含まれない部分が無許可で追加されていたことで、川内は2007年の2月に著作権侵害を訴えて、森との関係が悪化した。さらに、森はこの曲を歌うことを封印する様子も見せた。

森は1977年に大阪公演で前奏部分を初めて披露し、その後もライブ版のLPアルバムに収録された。また、過去の紅白歌合戦でもこのバージョンを披露していたため、多くの視聴者に親しまれていた。

イントロの変更

さて、具体的に問題となったのは、『おふくろさん』のイントロ前に追加された「いつも心配かけてばかり　いけない息子の僕でした」というバースである。これが音楽家・保富康午の提案に基づいて、森の所属事務所の後押しで作曲者の猪俣公章によって付け加えられたものである。しかしながら、その際に川内には何の連絡もなかったため、川内は十年間知らない状態でいた。

関係の悪化

騒動がきっかけとなり、森と川内の関係は急激に悪化した。川内は「人間失格だ」と激しく非難しており、森は自らの事務所が指導していたと自己弁護する形を取ったものの、状況はさらにこじれていった。森は川内に謝罪するために実際に自宅を訪れたが、時の運が悪く、川内に会うことができなかった。川内は森がマスコミを引き連れてきたことに不快感を示し、森の謝罪を退け粗末に取り扱った。川内は「もう森とは再び会わない」と決意する事態となった。

歌唱禁止

2007年3月、日本音楽[[著作権協会]]（JASRAC）は、森が改変版の「おふくろさん」を歌うことを事実上禁止すると発表。これにより、森は改変前の歌詞であっても道義的な理由から歌えなくなり、長い間この状態が続いた。

和解への道のり

その後、2008年11月6日に森は川内の遺族と共に記者会見を開き、今後は川内のオリジナル作品のみを歌唱することで解禁に至った。この記者会見では、川内が付けた封印を解いたに過ぎないと説明された。

2008年12月31日に放送された紅白歌合戦で、森は原曲のまま「おふくろさん」を歌唱することができ、ファンにとって待望の瞬間となった。その後も森は川内に感謝の気持ちを伝え、両者の関係の改善が見られる機会もあった。

結論

おふくろさん騒動は、日本の音楽史における重要な著作権問題として記憶されている。この事件は著作権の重要性や、アーティスト間の信頼関係の難しさを浮き彫りにした。同時に、川内の死去により解禁が実現したこのバランスは、多くの教訓を我々に与えている。

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