おめでたいアヒル

トムとジェリー：おめでたいアヒル

1958年1月3日に制作された、トムとジェリーシリーズの一作品『おめでたいアヒル』（原題：Happy Go Ducky）。日本では『イースターの朝』というサブタイトルで放送されることもありました。この作品は、イースターの朝を舞台に、いつものトムとジェリーとは一味違う騒動を描いています。

物語は、イースターバニーがイースターエッグをトムとジェリーに届けることから始まります。トムとジェリーはお決まりのように卵を奪い合いますが、その際に卵を落としてしまい、中からアヒルの子が孵化します。このアヒルの子が、物語の鍵を握る、非常に個性的なキャラクターです。

アヒルの子は、生まれた瞬間から「ハッピーイースター！」と叫び回り、家の中を水浸しにするなど、やりたい放題。トムとジェリーは、この予想外の事態に振り回されます。アヒルの子を捕まえ、イースターバニーのもとへ送り返そうとしますが、アヒルの子はすぐに脱走。何度捕まえようとしても、すぐに逃げられてしまうのです。

家の中はアヒルの子によってめちゃくちゃになり、ついに業を煮やしたトムとジェリーは、アヒルの子を公園の池に放つことを決意します。しかし、安心して寝ていると、アヒルの子はなんと仲間を連れて戻ってきてしまうのです！再び家の中は水浸しになり、散々なイースターとなってしまいました。

それでも、最後はトムとジェリーも根負け。池で楽しそうに泳ぐアヒルの子たちを、穏やかな表情で見つめることになります。いつもは激しい追いかけっこをするトムとジェリーですが、この作品ではアヒルの子を前に、珍しく協力し、そして最後は共存する姿を見せます。

この作品の見どころは、アヒルの子の予想外の行動と、それに振り回されるトムとジェリーのコミカルなやり取りです。また、普段はライバル関係にあるトムとジェリーが、共通の敵（アヒルの子）に対処する姿は、新鮮でユーモラスです。さらに、イースターという季節感あふれる背景も、作品全体の魅力を高めています。

スタッフ

製作・監督：ウィリアム・ハンナ、ジョセフ・バーベラ
作画：ケネス・ミューズ、ビル・シペック、ケン・サウスワース、ハーマン・コーエン、ルイス・マーシャル、ジェームズ・エスカランテ
背景：ロバート・ジェントル
レイアウト：ディック・ビッケンバック
音楽：スコット・ブラッドリー

登場キャラクター

トムとジェリー：いつものように卵を奪い合うが、アヒルの子には翻弄される。
アヒルの子：イースターエッグから孵化した、いたずら好きで自由奔放なアヒルの子。「ハッピーイースター！」が口癖。旧地上波版ではメス、それ以外のバージョンではオスと設定が異なる。
イースターバニー：イースターエッグを届けるウサギ。

日本でのテレビ放映

TBS系列および他系列局で、1964年から1990年頃まで断続的に放送されました。現在ではDVDにも収録されています。

『おめでたいアヒル』は、トムとジェリーシリーズの中でも特にユニークで、心温まる作品として知られています。イースターの陽気な雰囲気と、アヒルの子の可愛らしさ、そしてトムとジェリーのコミカルな演技が絶妙に融合した、何度見ても楽しめる名作です。

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