おもいで酒

おもいで酒

『おもいで酒』（おもいでざけ）は、小林幸子が1979年1月25日にリリースした28枚目のシングルです。この楽曲は、小林幸子にとっての特別な作品であり、彼女の音楽キャリアにおいて重要な位置を占めるものとなりました。

背景

小林幸子は1964年に「ウソツキ鴎」でデビューしましたが、15年間もの間ヒット曲に恵まれずにいました。しかし、彼女の運命は「おもいで酒」によって変わります。最初はB面の曲「六時、七時、八時あなたは…」を表題曲にする予定でしたが、B面としてまだ決まっていない曲がいくつかストックされていました。その時、プロの作詞家・作曲家によるものではなく、より歌いやすく親しみやすい楽曲として、この曲が小林のもとに届けられました。彼女はそのデモテープを聴き、すぐに心を惹かれ、3回聴くうちに完全に覚えてレコーディングを行うことにしました。これがB面に収録されることとなったのです。

発売後、「おもいで酒」は大阪有線放送局の総合1位を獲得するなど、一気に注目を集めました。その後、曲順やジャケットデザインが変更され再発売され、オリジナルのシングル盤は珍しい版として現在では希少価値を持っています。この曲によって、小林は1979年の『第30回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たすこととなりました。

チャート成績・受賞

楽曲のリリース時にはオリコンで77位からスタートしましたが、徐々に順位を上げていきました。発売から4ヵ月後にはようやくオリコンのトップ10にランクインし、ついには17週目に1位を獲得します。また、1979年の年間ランキングでは第3位として記録され、1980年にも年間で31位に入るヒットとなりました。総セールスは200万枚を超え、小林にとって「ウソツキ鴎」以来のヒット曲であることから、その不況を打破するものでした。さらに、TBSの『ザ・ベストテン』でも楽曲は注目され、週間最高位は第5位でしたが、10位以内には通算15週もランクされるなどの成果を上げ、1979年における年間ベストテンでは第1位となりました。

この曲は、第21回日本レコード大賞で最優秀歌唱賞と金賞を受賞し、また第10回日本歌謡大賞でも放送音楽賞を受賞するなど、多くの栄誉を持つ楽曲でもあります。

リメイクヴァージョン

1997年には「おもいで酒」の新録音バージョンが収められたアルバム『小林幸子特選集 越後情話』がリリースされ、同年12月にはこの新録音がシングルとしても発売されました。以来、多くの小林幸子のアルバムではこの新しいバージョンが収録されています。

さらに、2015年には、ネオソウル・ギターデュオSOUL GAUGEのアルバム『Walk on Japan 〜Everlasting Lovers〜』にアレンジされたバージョンが収録され、小林もボーカルとして参加しました。彼女の作品に参加する形でのコラボレーションは今回が初めての経験となりました。

収録曲と関連情報

「おもいで酒」には多くのカバーも存在しており、渥美二郎や藤圭子、香西かおりなど多くのアーティストがこの曲を自身のアルバムに収録しています。1979年の音楽シーンにも大きな影響を与えた楽曲として、今日でも多くの人々に愛され続けています。

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