おんな風林火山

おんな風林火山

『おんな風林火山』（おんなふうりんかざん）は、1986年10月12日から1987年3月1日までTBS系列で毎週日曜の夜に放送された時代劇ドラマであり、大映テレビが制作した唯一の時代劇でもあります。この作品は、武田信玄の五女松姫と織田信長の嫡男信忠との悲しい恋を描いたドラマで、主演には鈴木保奈美が起用されました。元々は26回の放送が予定されていましたが、視聴率の低迷により16回で終了してしまいました。

制作背景

本作が放送された背景には、当時のNHK大河ドラマが近代劇へと向かう中で、時代劇ファンの視聴者を取り込もうとしたTBSの意図がありました。具体的には、大河ドラマの視聴率が低下していたため、TBSは日曜20時の放送枠で本作品を打ち出しました。この時間帯は、他の人気番組との競合がありましたが、時代劇の魅力を再評価させるための一手と見なされました。

本作の企画は脚本家の佐々木守が発案し、武田信玄の五女松姫の物語に強く惹かれた事に始まります。プロデューサーの春日千春は、信玄の物語を幼少期から聞いていたこともあり、すぐに制作を決定しました。さらに、キャスト選びでは、鈴木保奈美の起用が特に注目され、彼女は既に他の番組への出演が決まっていたにもかかわらず、本作に参加するためにキャンセルしたとされています。

撮影と視聴率

本作では、歴史資料を参考に時代考証がなされ、ドラマの舞台となる巨大的なセットの準備が行われました。府中多摩スタジオでは限界があったため、調布市の大映東京撮影所で撮影が行われました。特に川中島合戦のシーンは壮大に撮られ、500人ものエキストラが参加した結果、当初の製作費を大きく上回ることとなりました。

しかし、初回放送での視聴率は9.0%とまずまずでしたが、続く第2話では6.2%、第3話では4.9%と急激に低下しました。その原因として、裏番組の大河ドラマ『いのち』の好評や、翌年放送される『独眼竜政宗』への期待が影響したとされています。最終的には、プロデューサーの春日は撮影を続けたいと懇願しましたが、TBS側の判断により予定の放送を前倒しして終了する運びとなりました。

あらすじ

『おんな風林火山』の物語は、1561年に武田信玄が武田家の五女として松姫を誕生させたところから始まります。松姫は父の信玄から政略結婚として織田信長の息子信忠との婚約を結ばれますが、両家の同盟が崩れ、敵に分かれて戦う道を選ばなければならなくなります。松姫は敵である信忠との愛を胸に抱えながら、悲しい運命が待ち受けていることを知ることになります。

このドラマを通じて、視聴者は戦乱の世に生きる人々の苦悩や選択、運命に翻弄される様を観ることができ、多くの人々の心を掴みました。最終回では、松姫の数奇な運命に対する感動的な結末が待っており、彼女の愛の深さを物語る形で締めくくられます。

終わりに

『おんな風林火山』は時代劇ドラマの枠を超えた物語であり、視聴者に深い感動を与えました。TBS系列における最後の大映ドラマとして、多くの人々の記憶に残る作品となっています。

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