おトラさん大繁盛

映画『おトラさん大繁盛』について

『おトラさん大繁盛』（おトラさんだいはんじょう）は、1958年12月20日に日本の東宝系で上映されたモノクロ映画です。この作品は、『おトラさん』シリーズの第6作であり、最終作でもあります。また、小田基義監督にとっても映画の最終作となる重要な作品です。この映画は、上映時間が1時間21分で、シリーズの中で最も長い作品に位置付けられています。それまで中編が多かった監督にとっては、久しぶりの長編作品となりました。

概要

本作は、前半で光が丘の年末年始を舞台にしたコメディ色の強いドタバタ劇が繰り広げられ、中盤ではトリ江の友人の結婚を手助けしようとするおトラが偽の親を演じるという物語が展開されます。しかし、その行動が思わぬトラブルを引き起こすことになります。出演者には、河内桃子や藤間紫 といった著名な配役が充実しており、さらには漫画『おトラさん』の作者である西川辰美も特別出演しています。また、柳家金語楼が演じるおトラは、前作に引き続いて自らの役を演じる二役の面白さも話題です。

ストーリー

新年を目前に控えた日野江家に、最近は御用聞きが訪れなくなっていました。そこで女中たちは近くに美しい女性が引っ越してきたという噂を耳にし、早速その女性を懲らしめに向かいます。しかし、夜にその女性が日野江家を訪れ、名刺を手渡します。彼女の名前は藤枝で、日本舞踊「藤陰流」の師匠でした。

お正月を迎えた日、女中たちが原っぱで遊んでいる最中、日野江家には小西得郎が現れ、トリ江の縁談を持参します。それに刺激を受けたおトラは、牛三の代わりに年始の挨拶に出向くことになりますが、あちらこちらで酒を振る舞われ、帰る頃にはすっかり酔いつぶれてしまいます。うっかりしていると、いつの間にかトリ江には男から手紙が送られていました。

事態を重く見た女中たちはトリ江を尾行し、ある日、トリ江が男と喫茶店に入るのを目撃します。彼女が駆け落ちを考えていると誤解したお八重は、慌てておトラに報告します。しかし、実際にはその男はトリ江の親友・猪原妙子の恋人で、トリ江は彼女の相談相手だったのです。

おトラは、真相を知って安心し、猪原家に直訴しに行くことを決意します。しかし、猪原庄左衛門は頑固者で、和田の身分を非常に軽く見ていました。そこでおトラは、藤枝から貰った名刺を示し、自らの立場を強調します。すると、庄左衛門は一変して喜び、結婚を承諾します。

しかし、庄左衛門が近々上京するという知らせを受けたおトラは焦ります。藤枝が発表会に出席する日、おトラは彼女になりすまし、おもてなしをすることになったのです。果たして、発表会では庄左衛門の目を欺くことができるのでしょうか。

キャスト

本作には多彩なキャストが出演しています。おトラ役の柳家金語楼はもちろんのこと、日野江の家族や女中たちなど個性豊かなキャラクターが登場します。また、主演の他にも多くの名脇役たちがストーリーを盛り上げています。

最終的に、おトラがさまざまなトラブルを乗り越えた結果、トリ江と和田の結婚は無事に実現します。この映画は、笑いあり、涙ありの心温まるストーリーで、当時の風俗や文化も垣間見ることができる作品です。

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