藤間紫

藤間 紫について

藤間紫（ふじま むらさき）は、1923年に誕生し、2009年に逝去した日本の舞踊家兼女優です。東京の文京区根津に生まれ、本名は喜熨斗 綾子です。彼女は日本医科大学の元学長・河野勝斎の娘として、9人兄弟のうち4人が芸能界で活躍し、2人が医師という背景を持っています。

舞踊家としてのキャリアの始まり

藤間は12歳の時に、六世藤間勘十郎に入門し、日本舞踊の道を歩き始めました。1944年には、勘十郎から「紫」という名を授かり、若き名取としての道を確立しました。彼女は24歳年上の勘十郎と結婚し、一男一女をもうけましたが、1960年代に入ると16歳年下の三代目市川猿之助と同居を始め、1985年に勘十郎と離婚しました。その後、2000年には猿之助と正式に結婚しました。

藤間は舞踊劇の創作にも注力し、1948年の『淀君』を皮切りに、昭和30年代には帝国劇場での『椎葉の里』、明治座での『青銅のキリスト』などの舞台で活躍しました。その後、藤紫会を立ち上げ、大劇場での公演を行い、多くの舞踊作品を発表することに力を注ぎました。

藤間流の家元としての活動

彼女の人生は、1985年の勘十郎との離婚訴訟を契機に宗家藤間流での争いに発展します。その結果、1987年には独自の「紫派藤間流」を創流し、東京と大阪で毎年舞踊会を開催しました。1993年には国立大劇場で「藤間紫の会」を自身の名でリサイタルを開催し、その存在感を再び示しました。

女優業への進出

藤間は女優としても活動し、映画、舞台、テレビドラマに出演しました。彼女の女優としてのデビューは1949年の新国劇『野口英世』であり、その後も数多くの作品で活躍しました。特に、1995年から翌年にかけて猿之助演出の舞台『西太后』に主演し、圧倒的な存在感を発揮しました。

最後の日々とその遺産

藤間紫は2009年3月27日に肝不全により闘病の末に亡くなりました。享年は87歳で、その影響力は舞踊界だけでなく、演劇界にも広がり続けています。彼女の戒名は「優照院賢徳紫芳大姉」で、今も多くの人々にその偉業が語り継がれています。

受賞歴

彼女の業績は多くの賞に認められており、1991年には菊田一夫演劇賞の大賞を受賞、読売演劇大賞では1994年に最優秀女優賞を獲得しました。また、文化功労賞や勲四等宝冠章を受章し、イタリア・ボローニャ市からも名誉市民としての称号が授与されています。

藤間紫の人生は、その人間性、芸術性、及び家庭環境が相互に影響し合いながら形作られたものであり、彼女の築いた業績は今もなお日本文化において重要な位置を占めています。彼女の遺した作品や教えは、後世の舞踊家や演劇人に影響を与え続けているのです。

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