お前が犯人だ

エドガー・アラン・ポーの短編小説『お前が犯人だ』

エドガー・アラン・ポーの短編『お前が犯人だ』（原題：Thou Art the Man）は、ミステリーの古典として称賛される作品であり、ポーの探偵小説群の一部を成しています。この作品は、特に有名なキャラクターC・オーギュスト・デュパンが登場する短編たちと共に語られることが多く、その中には『モルグ街の殺人』や『盗まれた手紙』、さらに『マリー・ロジェの謎』などがあります。また、ポーの代表作とも言われる『黄金虫』もこの流れに位置付けられる作品です。

原題と邦題の関係

タイトルのThou Art the Manは、旧約聖書のサムエル記下12章に由来しており、預言者ナタンがダビデ王の不正を指摘した言葉「汝、その人なり」が基になっています。邦題の「お前が犯人だ」はより具体的で直接的な意味合いを重視したもので、作品の内容を一目で理解しやすくしています。日本では、聖書の知識を持つ読者が限られているため、こうした表現が選ばれることが多いのです。

登場人物の紹介

物語にはいくつかの重要なキャラクターが登場します。まず、被害者で裕福な老紳士のバルナバス・シャトルワージです。彼はラトルボロの村に住んでおり、行方不明になりますが、後にその遺体が発見されることになります。

次に、被害者の甥ベニーフェザーがいます。彼は遺産を巡って頻繁にシャトルワージと争っていたため、事件の容疑者として当局に拘束されることになります。このことから、彼の動機が疑われるのです。

また、チャールズ・グッドフェローという探偵役の隣人も忘れてはなりません。彼は「オールド･チャーリー」と呼ばれ、事件解決に向けて奮闘します。そして物語の語り手である「わたし」という存在があり、読者にストーリーを引き込む役割を果たしています。

作品のトリック

『お前が犯人だ』の最大の魅力は、ストーリーの終盤で明らかになる意外な犯人の正体にあります。このような驚きの展開は、ポーの作品においてしばしば見られる特徴であり、読者を惹きつけてやまない要素です。物語を読み進める中で、予想外の結末が待ち受けていることに、ぜひ注目してほしいと思います。

書誌情報

この作品は、いくつかの文庫に収められています。例えば『ポー名作集』（中公文庫、2010年）や『モルグ街の殺人・黄金虫』（新潮文庫、2009年）などがあり、いずれもポーのミステリーの魅力を余すことなく楽しむことができる内容となっています。

『お前が犯人だ』は、エドガー・アラン・ポーの推理小説の中でも特に秀逸な作品として多くの読者に愛され続けているのです。

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