お家はバラバラ

トムとジェリーと、夢の犬小屋：『お家はバラバラ』

1952年11月29日に公開されたトムとジェリーの作品『お家はバラバラ』（原題：The Dog House）は、夢のマイホームを建てるブルドッグのスパイクと、その夢を邪魔するトムとジェリーを描いた、ドタバタコメディです。

スパイクの夢と、トムとジェリーのいたずら

本作の主人公は、自分自身で設計した理想の犬小屋を建てようとするブルドッグのスパイクです。彼は長年、自分自身の家を所有するという夢を抱いており、その夢の実現に情熱を燃やしています。しかし、そこにトムとジェリーのいつもの追いかけっこが割り込んできます。

トムとジェリーは、スパイクの建築現場を遊び場にしてしまうのです。彼らのいたずらと、トムの不注意によって、せっかく建てかけられた犬小屋は何度も破壊されてしまいます。スパイクは何度もトムを捕まえ、「ガキの頃から自分の家を持つのが夢だったんだ！」と怒鳴りますが、トムとジェリーは全く懲りていません。

怒りのスパイクと、トムの結末

何度も家を壊されるうちに、スパイクの怒りは頂点に達します。ついにトムは、ジェリーを捕まえようとして投げ縄を振り回すのですが、その勢いでスパイクの犬小屋まで巻き込み、完全に破壊してしまいます。

これにはスパイクも堪忍袋の緒が切れ、トムを容赦なくしばき上げます。トムはスパイクの怒りを買ってしまい、今度はスパイクの奴隷として、破壊された犬小屋の再建を命じられるのです。一方、直接的には犬小屋の破壊に関与しなかったジェリーは、スパイクから咎められることなく、むしろスパイクと一緒に新しい設計図を眺めているという、対照的な結末を迎えます。

各キャラクターの描写

トム：ジェリーを追いかけるうちに、スパイクの犬小屋を何度も破壊し、その度にスパイクにこっぴどく叱られます。最後は、スパイクに鞭打たれながら、犬小屋の再建を強制されます。

ジェリー：トムの様々ないたずらを巧みにかわし、トムの攻撃をうまく回避します。そして、スパイクにこき使われるトムを横目に、新しい犬小屋の設計図をスパイクと一緒に眺めています。

スパイク：幼い頃から自分の犬小屋を持つことを夢見ており、DIYで夢を実現しようと奮闘します。しかし、トムとジェリーのせいで何度も犬小屋を壊され、トムを何度も懲らしめます。最後は、トムに犬小屋の再建を強制することで、ようやく自分の夢を実現します。

作品の魅力と関連作品

『お家はバラバラ』の魅力は、トムとジェリーのコミカルな追いかけっこだけでなく、スパイクのひたむきな夢と、その夢を阻む現実との対比にあります。スパイクの怒りや、トムの哀れな姿は、視聴者に笑いと共感を同時に与えます。

また、本作では「Home! Sweet Home!」という曲が繰り返し使われており、スパイクの夢と希望、そしてトムとジェリーの騒動が、この曲によってさらに強調されています。日本のテレビでは1964年から1990年代頃まで放送され、DVDにも収録されているため、幅広い世代に親しまれている作品です。

関連作品として、『Home! Sweet Home!』が使用された日本の映画『ビルマの竪琴』や、主人公が監督した8ミリ映画が本作と似たような内容である『鞍馬天狗』のテレビドラマなどが挙げられます。また、トムとジェリーが宝くじで豪邸を建てる話『夢の豪邸づくり』も、本作と同様に夢と現実のギャップを描いた作品と言えるでしょう。これらの作品と比較することで、『お家はバラバラ』の独自性や魅力をより深く理解することができます。

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