ビルマの竪琴

ビルマの竪琴

『ビルマの竪琴』は、著者竹山道雄が1946年から1948年の間に発表した児童向け小説です。舞台は第二次世界大戦中のビルマ（現在のミャンマー）で、日本兵を主題にした物語が展開されます。この作品はその後映画化され、様々な言語に翻訳されるなど、広く親しまれています。

概要

物語は1945年7月、日本軍の戦局が悪化し、物資や食料が不足する中で始まります。音楽学校出身の隊長が音楽を通じて士気を高める一方、主人公の水島上等兵はその才能を活かし、ビルマの伝統楽器「サウン・ガウ」を奏でることで仲間たちを勇気づけていました。しかし、戦況は厳しく、小隊は敵に包囲され、降伏を余儀なくされます。

小隊員たちは捕虜収容所に送られ、そこでも水島の安否を気遣い、彼の才能を惜しむ日々が続きます。そんな中、部隊内で水島に似た僧が現れることから物語は動き始め、彼を見つけようとする隊員たちの想いが描かれます。やがて彼らは水島に再会し、静かに別れを告げることになります。水島は戦後の自責の念から、僧としてビルマに留まることで、挫折した日本兵の霊を弔うことを決意するのです。

あらすじ

ひどく追い詰められた日本軍がビルマの山々で抵抗を続ける中、水島は一度降伏の使者として出かけることになります。しかし運悪く消息を絶ってしまい、仲間たちは彼の音楽とともに彼の帰りを待ち続けます。水島と彼の演奏が小隊の心の支えとなり、物語は感動的なクライマックスに向かいます。

水島は捕虜とされる仲間たちを守ろうとし、自身が犠牲になってでもその思いを貫きます。捕虜としての日々と、過酷な戦争の現実が彼にどのように影響していくのか、彼の内面と行動が物語をより深みのあるものにしています。

始めは仲間との再会を夢見ていた水島は、彼の目の前で繰り広げられる無惨な戦局を目の当たりにし、自らが取るべき道を模索します。最終的に彼は仲間たちの元に帰ることはなく、ビルマで僧侶として生を全うする道を選ぶのです。

映画化

1956年と1985年の2回にわたり映画化され、特に1956年版は国内外で高く評価され、数々の賞を受賞しました。両作はそれぞれ異なる視点で水島の物語を描き、音楽と戦争というテーマが共鳴する映像美を提供しています。

結語

『ビルマの竪琴』は、戦争を舞台にしながらも音楽と人の絆、そして思いやりの心を強く訴えかける作品です。物語を通じて、多くの読者や観客は水島の選択を通して、戦争の悲しみや人間の尊厳について深く考えさせられます。これからも多くの世代に語り継がれていくことでしょう。

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