お手玉

お手玉の世界

お手玉（おてだま）は、小さな布袋に小豆や米、ジュズダマの実、リンゴの芯などを入れた日本の伝統的な玩具です。この小さな袋は、数個を一組にして縫い合わせ、遊びの道具として用いられます。「お手玉をする」という表現からもわかるように、遊びに使うことが主な目的です。

地域による呼び方

お手玉は地域によって異なる呼び名を持っています。じゅずだまやおじゃみ、またオニンク（オニンコ）、いしなご（石子/石投/擲石）など多様な名称が存在します。これらの呼び名もまた、地域の文化や伝統を反映した面白い要素です。

遊び方

お手玉での遊び方は多岐にわたりますが、一般的には歌に合わせて手を使い、一定のリズムで玉を放り上げて楽しむスタイルが普及しています。さらに同時に複数の玉を投げることで難易度が増し、ジャグリングのような技巧を要する遊び方も可能です。こうした遊びを通じて、子どもたちは手先の器用さを身につけていくことができますが、伝統的には男の子よりも女の子が遊ぶことが多かったようです。

歴史

お手玉の起源は古く、欧州の遊牧民が袋に粒状のものを入れて遊ぶことから始まったとされています。また、古代エジプトの洞窟壁画には、女性が何らかの玉を投げて遊ぶ姿が描かれており、この遊びが千年を超えて続いていることを示唆しています。ただし、古代のものが現代のお手玉と直接関連しているかは定かではありません。

日本では、奈良時代に中国から伝わり、そのによって「石名取玉」と呼ばれていました。聖徳太子が水晶を使ったお手玉で遊んだという伝説も残されています。江戸時代から明治初期にかけては、お手玉が盛んに作られ、歌川広重の浮世絵にも女児が楽しむ姿が描かれています。

また、第二次世界大戦中、学童疎開の際に、親元を離れた子にお手玉を持たせるなど、親子の絆の象徴としても利用されました。お手玉は、空腹時には中の豆を食べるための道具としても重宝されたのです。

伝承と現代

本来、お手玉は母から娘へ、そして孫へと世代を超えて受け継がれる遊びでした。しかし1950年代に入ると、核家族化が普及し、はるかに多くの遊びが周囲に存在するようになったため、お手玉は徐々に忘れ去られていきました。その結果、今では日本の伝統的な遊びとして小学校を中心に再評価され、子どもたちに受け継がれています。

その他の関連情報

「手玉に取る」という言い回しは、お手玉の遊び方のように巧みに人を操る意味で使われています。また、野球やクリケットの守備において、ボールを掴み損ねることを俗に「お手玉」と呼ぶことがあります。これは、遊びの中の楽しさが日常生活にも影響を与えていることの証です。

お手玉は、ただの玩具ではなく、それを通じて文化や歴史、さらには人間関係が構築されてきたことを示しています。

もう一度検索