お由羅の方

由羅についての詳しい考察

由羅（ゆら）は、寛政7年（1795年）から慶応2年10月28日（1866年12月4日）まで生きた、日本の歴史上の人物です。彼女は薩摩藩主・島津斉興の側室であり、町人出身という背景を持ちます。名前には「遊羅」との表記も見られ、岡田氏を名乗る岡田利武の養女として藩主のもとに嫁ぎました。

出身と背景

由羅の出自については諸説あり、江戸の大工、工藤左衛門の娘という説が広く知られていますが、実際には江戸・三田の八百屋の娘であったり、舟宿の娘であるという話も存在します。彼女が薩摩藩邸に奉公していた頃、島津斉興に見初められ、老女・島野の養女となることにより、藩主の側室としての地位を得たのです。斉興には正室・弥姫（周子）がいましたが、それにもかかわらず、由羅は薩摩に留められつつも、参勤交代の際には江戸に連れられるほど、斉興の深い愛情を受けたと伝えられています。

家族と子供たち

由羅は斉興との間に三人の子どもをもうけました。彼女の子供は三女智姫（夭折）、五男久光、七男唯七郎（夭折）です。これらの子供たちは、正室である弥姫との子供が生まれたのとほぼ同じ年またはその後に生まれています。斉興は正室の間でも子供を得ており、彼女たちの誕生時期は明らかに重なっています。

お由羅騒動

文政7年（1824年）に斉興の正室である弥姫が亡くなると、由羅は「御国御前」と呼ばれるようになり、正室と同様の待遇を受けることになりました。この時彼女は、藩主となる息子・久光の立場を確立し、長兄である斉彬の廃嫡を狙うようになります。これによってお由羅騒動と呼ばれる藩内の大騒動が引き起こされましたが、騒動が収束した後、由羅は特別な罰を受けることはありませんでした。

最期とその後の影響

斉彬の急死後、さらに孫である忠義が藩主に就任したのを見届けた由羅は、慶応2年（1866年）、鹿児島城下でその生涯を終えました。彼女の墓所は福昌寺跡にあり、鹿児島市玉里町には「由羅屋敷」と呼ばれる建物が残されていますが、一般公開はされていません。また、由羅の孫・忠義の七女である俔子は久邇宮邦彦王に嫁ぎ、さらにその長女は大正天皇の第一皇子である昭和天皇の妃として名を馳せました。

文化的影響

由羅はその波乱万丈な生涯から、多くの作品に取り上げられています。映画やテレビドラマ、小説において、彼女の存在はしばしば描かれ、特に大河ドラマでは数度にわたって出演者が演じてきました。これにより、由羅の人物像や彼女が生きた時代への理解を深めるきっかけとなっています。

もう一度検索