お菓子系

お菓子系（おかしけい）

お菓子系とは、主に1990年代に盛んになったアイドルグラビアのジャンルを指す言葉です。

概説

このジャンルは、1980年代後半に流行したブルセラ（ブルマーやセーラー服といった特定の衣裳を被写体とする）を題材にしたグラビアから派生しました。当初はアダルト系グラビア誌などで取り上げられ、ブルセラが社会現象となっていた1990年代前半には「ブルセラグラビア」として広く認知されました。この流れの中で、ブルセラグラビアを専門的に扱う雑誌が登場し始めます。

名称の由来

「お菓子系」という名称は、このジャンルを専門とする雑誌の誌名に由来しています。1992年に創刊された『クリーム』を皮切りに、1990年代後半にかけて『ホイップ』、『ワッフル』、『ラッキークレープ』、『ジューシープレス』など、菓子やデザートを連想させる甘くポップな名前の雑誌が相次いで創刊されました。これらの雑誌がこのジャンルの中心的なメディアとなったことから、ジャンル全体が「お菓子系」と呼ばれるようになったのです。

お菓子系雑誌

お菓子系グラビアを掲載する雑誌は「お菓子系雑誌」と呼ばれ、特に『クリーム』が代表格として知られています。これらの雑誌は、通常の制服やいわゆる「着エロ」とされる制服姿、水着、そして時にはヌードグラビアなど、様々な形態のグラビアを掲載していました。そのため、アイドルの魅力を伝える「アイドル雑誌」としての側面と、性的な要素を含む「アダルト雑誌」としての側面の両方を併せ持っていました。しかし、明確な定義が存在せず、一般週刊誌や漫画雑誌、あるいはヌード中心の雑誌がお菓子系アイドルを掲載することもあったため、その境界線は非常に曖昧でした。

最盛期には25万部を超える売上を記録した雑誌もありました。お菓子系雑誌が当時の出版不況下で成功を収めた要因の一つとして、有害図書指定への対策が挙げられます。コンビニエンスストア各社がアダルト雑誌の自主規制を強化する中で、一部にヌードページを含みつつも、表紙を爽やかな雰囲気で飾るお菓子系雑誌は、書店やコンビニでの陳列において有利な立場を確保し、既存のアダルト誌とは異なるニッチ市場を開拓しました。

しかし、競合誌が増えるにつれて誌面表現が過激化する傾向が見られました。そして、1999年11月1日に児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律（児童ポルノ禁止法）が施行されたことにより、お菓子系雑誌は大きな転換点を迎えます。

この状況に対し、もともとポップな誌面作りを特徴としていた『クリーム』は、モデル選定や衣裳の表現方法に工夫を凝らし、その方向性をさらに強化しました。一方、他の多くの競合誌は適切な方向転換ができずに休刊へと追い込まれました。一度は『クリーム』の独壇場となるかに見えましたが、2000年代に入ると『ホイップ』が創刊されます。『ホイップ』は『クリーム』のフォーマットを踏襲しつつも、サブカルチャー系の読み物記事を充実させるなど、独自の路線を歩みました。

関連メディア

お菓子系アイドル単独の写真集やイメージビデオも多数発売されました。このジャンルを専門的に扱うシリーズとしては、写真集では『クリーム写真集』、イメージビデオでは『美少女ソナタ』や『平成女学園』などがよく知られています。

お菓子系アイドル

お菓子系グラビアで活動するアイドルは「お菓子系アイドル」と呼ばれました。谷口ともみ、相川みさお、江沢規予、久保亜沙香、浅川千裕、高木美貴、萩原舞、升水美奈子など、数多くのアイドルがこのジャンルで活躍しましたが、人気が特定の人物に集中するというよりは、多くのモデルに分散していたため、真の意味での「代表的なアイドル」を一人挙げるのは難しい状況でした。

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