お話でてこい

お話でてこい

「お話でてこい」は、NHKラジオ第2放送で放送される幼稚園や保育園の子どもたちを対象にした朗読番組です。この番組は、乳幼児の想像力を育むための最適なメディアとしてラジオを活用しています。毎回、選りすぐりの世界の童話や御伽噺に焦点を当て、経験豊富な俳優や声優たちによる温かい語り口で子どもたちに物語を届けます。

放送は週に一回、主に水曜日の9:45から10:00に行われており、番組は特有のテーマソング「でーてこい、でてこい、でてこい…」から始まります。この合唱団の歌声の後に「でてきた、でてきた、でてきたぞ」という言葉が続き、お話の始まりを告げる口上へと進みます。エンディングでは「今日のお話はこれでおしまい」と朗読者が締めくくり、その後合唱団が「どんどこどん、どんどこどん、どんどこどんでさようなら…」と歌います。このスタイルは子どもたちにとってなじみやすく、お話の余韻を楽しむことができます。

番組の歴史は長く、2013年3月までは月曜と火曜だけの放送でしたが、同年4月からは月曜から木曜に拡大され、ターゲット層も年少から小学校低学年へと広がりました。2014年4月には放送日が再度見直され、月曜が年少、火曜が年中、水曜が年長向けの内容に特化しました。このような変遷を通じて、「お話でてこい」は幼稚園や保育所向けに特化した内容に発展しました。しかし、2024年4月には月曜と火曜の放送が廃止され、週に一度の放送となります。

朗読者には、故人となった佐野浅夫や香椎くに子、藤田淑子のように有名な声優たちが名を連ねています。また、音楽も服部正や横山菁児といった著名な作曲家によって提供されており、各回の物語に彩りを添えています。

「お話でてこい」は数回にわたり表彰を受けてもおり、1969年には文部大臣賞を受賞した「海におちたピアノ」や、1973年の作品「-かきくけこ、かきくけこ-」などがその例です。また、2001年には佐野浅夫がペスタロッチー教育賞を受賞しました。

さらに、番組を提案した武井照子の自伝的エッセイには、彼女が抱いていた幼児番組への疑問や、番組制作の迷いと意志がつづられています。彼女の独特な視点と実体験が基盤となり、この番組は数十年にわたり愛されてきました。彼女は自らの経験を通して、語り手にこだわりながら制作を進めたのです。

このように、「お話でてこい」は、単なる子ども向けの番組ではなく、多様な物語を通じて想像力を育んできた貴重なメディアとして、今後も多くの子どもたちに夢を与え続けることでしょう。

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