香椎くに子

香椎くに子：日本の芸能史に輝く多才な女優、声優

香椎くに子（1929年3月4日-2008年10月1日）は、日本の女優、声優として活躍した人物です。東京都出身で、夫はプロデューサー、劇作家、演出家の植野晃弘氏でした。

佐世保市立成徳高等女学校卒業後、香椎くに子の芸能活動は日劇ダンシングチームから始まりました。その後、ムーランルージュ新宿座、劇団新作座、松竹芸能、劇団東芸、東京俳優生活協同組合、石渕事務所と、数々の劇団や芸能事務所を渡り歩き、最終的にはマウスプロモーションに所属していました。この経歴からも、その活動の幅広さと多彩さが伺えます。

香椎くに子の演技の特徴として、東北地方（山形県、秋田県）なまりが挙げられます。この独特な方言は、彼女の個性的な演技スタイルに深みを与え、多くの作品の中で際立った存在感を放っていました。また、趣味や特技として日本舞踊（花柳寿楽門下）、モダンバレー、三味線と、多様な才能を持っていました。これらの経験は、表現力豊かな演技に繋がったことは間違いありません。

彼女の出演作品は、テレビドラマ、映画、吹き替え、アニメと多岐に渡ります。代表的なテレビドラマ出演作品には、『地の涯まで』（1955年）、『事件記者』（1958年）、『お笑い三人組』（1957年）、『新五捕物帳』（1977年）、『噂の刑事トミーとマツ』（1980年）、『特捜最前線』（1985年）、『女ふたり捜査官』（1986年）、『土曜ワイド劇場 西村京太郎トラベルミステリー』（1990年）などがあります。これらの作品において、彼女は様々な役柄を演じ分け、高い評価を得ました。

映画では、『チャッカリ夫人とウッカリ夫人』（1952年）、『村八分』（1953年）などに出演。一方、声優としての活動も非常に盛んで、数多くの洋画、アニメの吹き替えを担当しています。吹き替え作品は、洋画では『ギルバート・グレイプ』『クリスマス・ツリー』『刑事マディガン』『コクーン2/遥かなる地球|コクーン2_遥かなる地球』『サンフランシスコ大空港』『卒業』『タワーリング・インフェルノ』『ハウスシッター/結婚願望』『フィラデルフィア・エクスペリメント』『フレンジー』『ホワイトクリスマス』『名犬ラッシーの大冒険』など、数え切れないほどの作品があります。ドラマでは『アボンリーへの道』『宇宙家族ロビンソン』『ER緊急救命室』『頑固じいさん孫3人』『サンタバーバラ』『じゃじゃ馬億万長者』『新スタートレック』『人気家族パートリッジ』『フルハウス』などにも参加しています。

アニメでは、『宇宙家族ジェットソン』『原始家族フリントストーン』『101匹わんちゃん』『シスコン王子』『アストロガンガー』『ど根性ガエル』『ガンとゴン』『母をたずねて三千里』『あらいぐまラスカル』『ペリーヌ物語』『ベルサイユのばら』『OKAWARI-BOY スターザンS』『美味しんぼ』『Cosmic Baton Girl コメットさん☆』『ブラック・ジャック』など、長きにわたって多くの作品に参加し、多くの視聴者にとって、懐かしい声として記憶されていることでしょう。劇場アニメでは『少年猿飛佐助』（1959年）などにも出演しています。特撮では、『ぐるぐるメダマン』（1976年）で声を担当しました。ラジオ番組『お話でてこい』（NHKラジオ第2放送）にも出演していました。さらに、舞台、ムーランルージュ新宿座での活動も経験しています。

香椎くに子は、長年にわたり、多様なジャンルで活躍し、その演技力は高く評価されていました。その多彩な才能と幅広い活動は、日本の芸能史に大きな足跡を残しました。彼女の遺した作品は、これからも多くの人の心を魅了し続けることでしょう。

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