お達者くらぶ

『お達者くらぶ』は、NHK教育テレビジョン（Eテレ）にて、1980年 4月7日から1988年 4月1日までの約8年間、放送された高齢者層を対象とした生活情報および教養番組です。1976年度から放送されていた『お達者ですか』を発展させ、その内容をより充実させる形で新たにスタートしました。

本放送は教育テレビで実施されましたが、より多くの視聴者に届けるため、再放送はNHK総合テレビでも行われました。

放送時間の変遷

番組の放送時間は、その期間によって異なりました。いずれも教育テレビにおける本放送の時間帯です。

番組開始当初の1980年度から1984年度にかけては、月曜日から木曜日までの週4日、朝の8時30分から9時00分までの30分番組として構成されていました。これは、当時の多くの高齢者の生活リズムに合わせた時間設定と言えます。

その後、1985年度に入ると、放送期間は月曜日から金曜日までの週5日に拡大されました。しかし、これに伴い、一回あたりの放送時間は朝の6時40分から7時00分までの20分間に短縮されました。この変更は、番組構成や内容にも影響を与えたと考えられます。

1980年度 - 1984年度：月曜日〜木曜日午前8時30分 - 午前9時00分（30分）
1985年度 - 1987年度：月曜日〜金曜日午前6時40分 - 午前7時00分（20分）

出演者

番組の進行役としては、歴代のアナウンサーが担当しました。彼らは番組の様々なコーナーで解説やゲストとの対話をリードし、視聴者に分かりやすく情報を提供しました。

歴代アナウンサー：酒井広、小六英介、井鍋正良、飯窪長彦

また、番組にはアシスタントも出演し、進行をサポートしました。番組の暖かな雰囲気作りに貢献したアシスタントとして、小鳩くるみさんが務めました。

アシスタント：小鳩くるみ

番組内容

番組は、高齢者の多様な関心や生活課題に応えるべく、曜日ごとに異なるテーマを設定していました。これは放送時間や曜日の変更に伴い、一部リニューアルされています。

開始当初（1980年度 - 1984年度）の主な内容：

月曜日：当世あまから問答
二代目神田山陽と柳家さん光（現在の柳家権太楼）が、老若それぞれの視点から世相や出来事について問答形式で語り合いました。この問答を糸口に、専門家がその背景にある事象や社会的な問題点について掘り下げて解説し、視聴者が多角的に物事を理解する助けとなりました。
火曜日：ハガキでこんにちは
日本全国に住む高齢者から番組宛に寄せられた葉書を紹介するコーナーです。日々の出来事、趣味、悩み、提案など、視聴者一人ひとりの声や生活の様子を取り上げ、共感を呼ぶ内容となっていました。視聴者参加型の企画として、番組と全国の高齢者をつなぐ重要な役割を果たしました。
水曜日：長寿列島・北南
日本の様々な地域で、ユニークで活発な活動を行っている高齢者個人やグループにスポットを当てて紹介しました。地域に根ざした文化活動、ボランティア、新たな挑戦など、意欲的なシニア世代の姿を通して、視聴者に生きがいや活動のヒントを提供しました。
木曜日：つくろう・語ろう
高齢者が新しい趣味を見つけたり、既存の趣味を深めたりするための実用的な講座でした。手芸、絵画、園芸など、月ごとにテーマを変えながら、具体的な制作方法や楽しみ方を紹介し、視聴者の趣味の世界を広げることを支援しました。

1985年度以降の主な内容：

1985年度に週5日放送に変更されてからも、月曜日から水曜日までの「当世あまから問答」「ハガキでこんにちは」「長寿列島・北南」は引き続き放送されました。

木曜日と金曜日には新たなコーナーが加わりました。

木曜日：ざっくばらんに
このコーナーは、視聴者である高齢者が日頃感じていることを自由に語り合う意見交換の場となりました。社会的な問題や身近な出来事について、率直な意見や経験を共有し、視聴者同士の共感やつながりを生み出すことを目指しました。
金曜日：思い出ニュース館
過去のニュース映像、特に『日本ニュース』などを視聴し、そこに映る出来事や時代背景を振り返る企画でした。さらに、当時の出来事の関係者や体験者をゲストに招き、生の声で当時のエピソードや心情を語ってもらうことで、歴史をより身近に感じ、自身の人生経験と重ね合わせる機会を提供しました。

『お達者くらぶ』は、長寿化が進む社会において、高齢者が抱える生活課題への情報提供、趣味や生きがいの促進、社会参加の奨励など、多岐にわたるテーマを取り上げることで、豊かなセカンドライフを支援する公共放送の役割を果たしました。

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