かえるの王さま

かえるの王さま

『かえるの王さま』（Der Froschkönig oder der eiserne Heinrich）は、グリム童話の中でも特に有名な物語の一つです。日本では、『かえるの王子』や『かえると金のまり』といったタイトルでも親しまれています。

あらすじ

物語は、ある国の王女が金の鞠を森の泉に落としてしまう場面から始まります。困っている王女の前に現れたカエルは、友達になること、同じ皿から食事をとること、そしてベッドで一緒に寝ることを条件に、鞠を拾ってあげると申し出ます。王女は承諾しますが、鞠を取り戻すとカエルを置いて城へ逃げ帰ってしまいます。

しかし翌日、カエルは城に現れ、王女に約束を果たすよう要求します。王は王女にカエルとの約束を守るように命じ、王女は嫌々ながらもカエルと一緒に夕食をとります。さらにカエルは、王女のベッドで一緒に寝ることを要求します。王女は恐怖と嫌悪感から拒否しますが、王の命令には逆らえず、カエルを寝室へ連れて行くことになります。

王女はカエルを壁に叩きつけようとしますが、その瞬間、カエルの魔法が解け、ハンサムな王子に姿を変えます。王子は王女に求婚し、二人は結婚することになります。王子の従者であるハインリヒは、王子がカエルに変えられていた間、悲しみのあまり胸に3本の鉄の帯を巻き付けていました。王子と王女が祖国へ向かう道中、ハインリヒの鉄の帯は喜びによって1本ずつ音を立てて弾け飛んでいきます。

解説

「かえるの王さま」は、グリム童話の初版から最終版まで一貫して巻頭を飾る物語です。グリム兄弟は、物語を改訂するごとに加筆・修正を加え、ロマン主義的な色彩を強めていきました。物語に登場する「鉄の帯が外れる」という表現は、ドイツのことわざ「心の石が落ちる」に由来しており、悲しみからの解放を象徴しています。登場人物の心理描写を直接的に表現するのではなく、鉄の帯という物体を通して表現している点が、この物語の特徴の一つと言えるでしょう。

物語の結末は、カエルにキスをすることで魔法が解けるという版も存在します。

日本における類似の童話

日本にも、「蛙息子」や「田螺長者」など、カエルが人間に姿を変える類似の昔話が存在します。

関連項目

プリンセスと魔法のキス
フェアリーテール・シアター
* 蛙化現象

この物語は、外見にとらわれず、内面を見ることの大切さ、そして約束を守ることの重要性を教えてくれます。また、ハインリヒの鉄の帯が外れる場面は、悲しみからの解放と幸福の象徴として、読者の心に深く残ります。

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