かじか号

かじか号：熊本と杖立温泉を結んだ快速バス

かつて熊本県と阿蘇地方を結んでいた快速バス「かじか号」をご存知でしょうか？産交バス（小国営業所）が運行していたこの路線は、1999年までは中央営業所（現在の高速営業所）が担当し、座席定員制を採用していました。地元自治体の補助を受けて運行されていましたが、2007年3月31日をもって廃止となりました。

運行の歴史

運行開始日は不明ですが、1966年7月時点では、快速2往復、急行2.5往復、瀬の本経由急行4往復（うち3往復は小国停留）が運行されていました。当時、熊本駅前を出発し、杖立温泉まで3時間11分、運賃500円で運行されていました。特徴的なカギ型の模様が入ったヘッドマークも使用されていました。

その後、運行本数や経路の変更が何度か行われました。1970年にはワンマン化、1977年には一部区間で東バイパス経由に変更され、内牧を経由しなくなりました。1978年には大観峰経由の急行便が準急となり、1991年には熊本空港を経由するルートも追加されました。1999年には、運行業務が九州産業交通から産交観光バス（現在の産交バス）に移管され、車両も同時に譲渡されました。

運行経路は時代と共に変化していき、停車駅も変遷しました。熊本駅前を出発し、熊本市内を経由して阿蘇方面へと向かい、最終的に杖立温泉に到着するルートでした。途中、主要な観光地や公共施設などに停車していました。

車両

かじか号に使用された車両は、時代と共に変化しました。当初は一般路線バスをベースとした観光タイプの大型標準床トップドア車が使用されていました。その後、中型トップドア車、高速路線向けのトイレ付きハイデッカー車両へと移行していきました。1999年の運行移管後も、以前使用されていた車両が引き継がれましたが、車内トイレは閉鎖されました。末期には小国営業所の一般路線用中型トップドア車も使用されていました。

廃止とその後

2007年4月1日、かじか号は廃止となりました。これにより、熊本と杖立温泉を直通で結ぶ交通手段はなくなりました。現在、この区間への移動には、大分線（やまびこ号）や九州横断バスを利用し、阿蘇駅前で杖立温泉行きの普通バスに乗り換える方法があります。また、九州横断バスで黒川温泉まで行き、そこから普通バスに乗り換えるという方法もあります。

まとめ

かじか号は、長年にわたって熊本と杖立温泉を結ぶ重要な交通手段でした。その歴史は、地域社会の変化や交通事情の変遷を反映しています。廃止後も、多くの観光客や地元住民にとって、その存在は記憶に残るものとなっています。かじか号の歴史を知ることは、阿蘇地方の交通史を知る上で重要な意味を持ちます。 路線バスの歴史は、その地域の変遷を映す鏡と言えるでしょう。

もう一度検索