かばい手

かばい手についての解説

相撲の世界では、勝負の決定基準がいくつか存在します。その中で「かばい手」という概念は、特に重要な役割を果たしています。これは、技の流れの中で相手に密着し、状況によっては先に手をついた力士が負けにならないという特殊なケースを指します。

勝負規定とその背景

相撲のルールでは、足の裏以外の身体が土俵に触れた場合、その力士は負けとみなされます。しかし、試合が進行する中で、力士同士が互いに寄せ合い変則的な体勢になることがあります。そのような場面では、「重ね餅」と呼ばれる状態になることがあります。この体勢は、力士が互いに体を接触させ、すでに一方が危険な状況にある場合に起こります。相手がすでに「死に体」となっている状況でも、先に手をついてしまった力士がそのまま負けるのは不公平とされ、そこで新たな規則が生まれました。

かばい手の定義

この手が「かばい手」と呼ばれ、土俵に手をつくことが認められるのは、特定の条件下に限られます。下になった力士がすでに反撃する余裕がない場合、上にいる力士が手をついても負けにはなりません。この状態を判断するのは、行司や勝負審判の役割です。彼らは、状況を見極めながら、かばい手なのか、それとも通常の「つき手」として扱うべきかを決定しなければなりません。

かばい足について

さらに、「かばい足」と呼ばれる言葉も存在します。これも同様の状況において、攻めている力士が体勢を崩した結果、先に土俵の外に足を踏み越えてしまう場合に適用されます。この用語は勝負規定には明記されていないものの、実際の審判の場では広く使われ、年寄や解説者たちも認めることが多いです。

かばい手の具体例

実際の相撲中で、かばい手に関する判定が議論を呼んだケースがいくつかあります。

一つ目は、1972年の横綱北の富士と関脇貴ノ花の対戦です。この試合では、かばい手の適用に関して観衆や解説者の間で多くの意見が交わされました。

二つ目は、1993年に行われた大関小錦対関脇若ノ花の一番です。この試合も物議を醸し、特に若ノ花がかばい手の状態にあったとされ、その後の議論になりました。このとき、若ノ花は手をつかずに戦い切ろうとしており、その判断がどのように影響したかは後の対談で語られています。

最後に、2004年の横綱朝青龍と琴ノ若の一番にも注目すべき事例があります。琴ノ若の上手投げによって、朝青龍は危険な姿勢になり、そこでのかばい手の適用が問題にされ、両者同体として取り直しとなりました。

結論

かばい手という概念は、相撲の勝負における非常に特異な状況を表しており、審判の判断が大きく影響します。このルールの理解は、相撲ファンにとっても非常に興味深いテーマであり、スポーツの公正を保つために欠かせない要素と言えるでしょう。

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