かませ犬

かませ犬（かませいぬ）についての解説

「かませ犬」という言葉は、元々闘犬の世界から生まれた用語です。この言葉は、調教中の犬に自信を持たせるために使われる、弱い犬を指します。特に、若い闘犬が経験を積む過程で、その犬を噛むことで勝つ感覚を学ぶために、先輩犬や体格の小さな犬と戦わせることが一般的です。しかし、若い犬たちはまだ未熟で、どう闘うべきか分からないことが多く、うまく噛むことができない場合もあります。そんな時には、弱い犬の口を縛ってしまうこともあると言われています。

また、かませ犬として使われる犬の中には、闘犬を引退した老犬が再利用されるケースも少なくありません。ここから転じて、スポーツや格闘技の世界では、選手やチームが調整のために意図的に実力の劣る相手と対戦させる際にも「かませ犬」という表現が使われるようになりました。このような対戦で、実力差のある相手との勝利が果たされることで、観客には華々しい勝利が披露され、爽快感を与えるというわけです。

この概念は、フィクション作品の中でもよく見られます。特に、主人公や強大な敵役の強さを際立たせるために登場する「やられ役」として描かれることが多いです。例えば、映画『ロッキー』において、主人公のロッキー・バルボアは、チャンピオンのアポロ・クリードとの戦いで、彼の強さを際立たせる役割を果たしています。また、人気漫画『ドラゴンボール』では、主人公である孫悟空に対して、サブキャラクターのクリリンが同じような位置づけにあります。これにより、物語においてキャラクターの成長やドラマティックな要素が強調されることになります。

関連する用語

このかませ犬という言葉には、いくつかの関連する用語やトピックがあります。まず「当て馬」という言葉は、同様に意図的に実力の劣る相手を指す場合に使用されることがあります。また、プロレスの世界では、ジョブを担当する選手もこのかませ犬に近い役割を果たし、観客に勝利を見せるための重要な存在です。

さらに「負け犬」という表現も、時にはかませ犬と似たような意味合いで使われます。これは主に文化的な比喩として、負けを認めざるを得ない立場にいるキャラクターを指すことがあります。

また、日本の作家戸川幸夫は、かませ犬に関連する小説を数多く執筆しており、そのテーマを深く掘り下げています。さらに、アメリカン・コミックス『アンダードッグ』を原作とした映画「鉄ワン・アンダードッグ」は、この概念をテーマにした作品となっています。

このように、「かませ犬」という言葉は様々な文脈で使われる意味を持つ言葉であり、スポーツやエンターテイメントの中でかけがえのない役割を果たしています。

もう一度検索