かやぶきの里・北村

かやぶきの里・北村：日本の原風景が息づく場所

京都府南丹市美山町北に位置する「かやぶきの里・北村」は、今では珍しい茅葺き屋根の家屋が数多く残る、日本の原風景に出会える場所です。山間の静かな集落には、どこか懐かしい風景が広がります。

歴史

北村は、中世には丹波国桑田郡弓削荘に属し、林業を主な産業とする山村集落でした。集落を通り抜ける街道は、かつて京都と若狭を結ぶ鯖街道の一部として、多くの旅人で賑わいました。様々な地域からの影響を受け、独自の建築様式や生活様式が育まれたと言われています。江戸時代には篠山藩に属し、近隣の村々と共に「知井9か村」と称されました。

1993年（平成5年）には、周囲の水田や山林を含む集落全体127.5ヘクタールが、国の重要伝統的建造物群保存地区として選定され、その貴重な景観が保護されることになりました。

現在では、「かやぶきの里保存会」が中心となり、歴史的な景観の保全と住民の生活を両立させるための活動が行われています。住民が出資して設立された「有限会社かやぶきの里」が、建造物の維持管理や観光施設の運営を組織的に行い、持続可能な集落のあり方を模索しています。

建築物

集落内の家屋は、山麓の傾斜地を整地して建てられており、宅地の正面には石垣が築かれています。現存する茅葺き屋根の家屋の多くは、江戸時代中期から末期にかけて建てられたもので、「北山型民家」と呼ばれる独特の様式を持っています。特徴的なのは、丈の高い入母屋造の屋根と、神社の千木のような飾りです。

50戸ほどの集落のうち、交流館、民俗資料館、民宿などを含む38戸が茅葺き屋根の建物です。集落の外れには、(有)かやぶきの里が運営する食堂やお土産物屋もあり、これらの建物も茅葺き屋根で統一されています。

現地情報

施設

かやの里: お土産物屋。「(有)かやぶきの里」と「北村きび工房」が入居しています。
お食事処「きたむら」：地元の食材を使った料理が楽しめます。
民俗資料館: 昔の生活用具や民具などが展示されています。
知井八幡宮: 集落の鎮守。
個人経営の民宿: 茅葺き屋根の民宿で、ゆっくりと時間を過ごせます。

交通

JR山陰本線園部駅または日吉駅から南丹市営バスに乗車、「北」停留所下車。1～2時間に1本程度運行しています。
* 京都府道38号京都広河原美山線が利用できます。

維持管理

茅葺き屋根は、定期的な葺き替えが必要です。近年では、住民の中から茅葺き職人が育ち、伝統技術の継承が行われています。以前は、村の共同作業として屋根の葺き替えが行われていましたが、現在は自治体からの補助金などを活用し、専門業者に依頼することが多くなっています。

茅葺き屋根の建物は火災に弱いため、防火対策が重要です。2000年には「かやぶき交流館」が火災で焼失する事故がありましたが、その後再建されました。各家屋には放水銃が配備されており、万が一の事態に備えています。

かやぶきの里・北村は、日本の原風景を守りながら、未来へと歩む集落です。ぜひ一度訪れて、その美しい景観と温かい人々に触れてみてください。

もう一度検索