からっぽの唄

楽曲『からっぽの唄』概要

『からっぽの唄』は、日本のシンガーソングライターである岡林信康氏によって、1977年6月20日にシングルレコードとして発表された楽曲です。発売元は日本コロムビアでした。岡林氏は1970年代後半にかけて、その音楽性を探求し続け、フォークソングの枠を超えた多様なサウンドを取り入れていましたが、本作もその時期の作品の一つと言えるでしょう。

シングル詳細

このシングル盤は、A面に表題曲である「からっぽの唄」、B面に「五年ぶり」を収録してリリースされました。両曲ともに岡林信康氏自身が作詞・作曲を手掛けています。A面の「からっぽの唄」は演奏時間が5分22秒、B面の「五年ぶり」は6分08秒という、当時のシングルとしては比較的演奏時間の長い楽曲が収められています。

解説と背景

シングル「からっぽの唄」は、本作の発売に先駆けてリリースされた同名のアルバム『ラブソングス』にも収録されています。しかし、シングルに収録されたバージョンは、アルバム収録テイクとは異なる別バージョンとなっています。ファンにとっては、同じタイトルでありながら異なるアレンジや演奏で楽しめる点が特徴です。また、シングルのジャケット写真は、アルバムのジャケットと同じ構図が採用されており、関連性の深さを示しています。

特筆すべき点として、プロモーション盤（型番：TD-1026-A）の存在が挙げられます。このプロモーション盤は、一般に市販されたシングル盤とは仕様が異なっていました。まず、B面に収録されている楽曲が、市販盤の「五年ぶり」ではなく「ベイビー」となっていました。さらに、ジャケットデザインも異なり、岡林信康氏がハットをかぶり、サングラスをかけ、髭を生やしたイラストが使用されていました。これはプロモーション盤にのみ見られるユニークな仕様であり、コレクターズアイテムとしても知られています。

レコーディングメンバー

このシングル盤の制作には、以下のミュージシャンが参加しています。

「からっぽの唄」

歌：岡林信康
ギター：中川イサト
ストリングス・アレンジ：栗田俊夫

「五年ぶり」

歌：岡林信康
ベース：河合徹三（〈ラストショウ〉所属）
ドラム：島村英二（〈ラストショウ〉所属）
オルガン：中川イサト

中川イサト氏は両方の収録曲に参加しており、「からっぽの唄」ではギター、「五年ぶり」ではオルガンを担当するなど、多才ぶりを発揮しています。「五年ぶり」の演奏には、当時活躍していたバンド、ラストショウのメンバーである河合徹三氏（ベース）と島村英二氏（ドラム）が参加し、楽曲に彩りを加えています。

関連アルバムへの収録

シングルとして発表されたこれらの楽曲は、後年のアルバムにも収録されています。

『ラブソングス』（1977年）: 同名タイトル曲が収録されていますが、シングルバージョンとは異なるテイクです。
* 『岡林四十五景〜デビュー45周年記念ベスト盤』（2013年）: デビュー45周年を記念して制作されたこのベスト盤には、シングル「からっぽの唄」のオリジナルバージョンが収録されています。さらに、前述のプロモーション盤でのみ聴くことができたB面曲「ベイビー」も特別に収録されており、貴重な音源としてファンに届けられました。

『からっぽの唄』が発表された1977年は、日本の音楽シーンにおいても多様なジャンルの楽曲が登場した年でした。本作もまた、岡林信康氏のアーティストとしての円熟期における重要な作品の一つと言えるでしょう。

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