かわなかのぶひろ

川中宣弘：日本の独立系映像文化を支えた映像作家

川中宣弘氏は、1941年東京生まれの映像作家である。東京造形大学教授(～2006年)としての活動や、個人による映像制作拠点の創出、そして日本の独立系映像文化の発展に大きく貢献した人物として知られている。

8ミリ映画から始まった映像制作

川中氏の映像制作は、1960年代初頭、8ミリ映画制作から始まった。その後、数々の映像コンクールの審査員を務めるなど、その活動は多岐にわたる。初期には雑誌『ビックリハウス』のクリエイターとしても参加していたという興味深い経歴も持つ。

独立系映像文化への貢献：上映活動からイメージフォーラム設立まで

1968年、川中氏は個人映画制作者の組織「ジャパン・フィルムメーカーズ・コーポラティブ」設立に参加し、事務局長を務めた。翌年には脱退するものの、佐藤重臣氏と共に「日本アンダーグラウンド・センター」を設立し、アンダーグラウンド映画の上映活動を展開した。

1972年には、渋谷の寺山修司主宰の劇団「天井桟敷」の地下劇場でシネマテークを開設。1976年まで活動を続け、その後、1977年に東京・四谷に拠点を移し、「イメージフォーラム」と改称、映像作家育成のための研究機関「イメージフォーラム付属研究所」を併設した。このイメージフォーラムは、日本の独立系映像文化を支える重要な拠点となった。

さらに、1980年には映画批評雑誌『月刊イメージフォーラム』(ダゲレオ出版)を創刊し、初代編集長を務めるなど、日本の映像文化の発展に貢献した。妻である富山加津江氏は、イメージフォーラム及びダゲレオ出版の代表を務めている。

多様な映像作品と著作

川中氏は、数多くの映像作品を発表している。初期作品である『水の記憶』(1962年)から、実験的な作品『Play Back』(1973年)、街並みを捉えた『タウンスケープ・7「キャッツ・アイ」』(1977年)など、その作風は多様である。また、萩原朔美氏との共作である『映像書簡』シリーズも有名であり、長年に渡って制作が続けられている。

著書も多数出版しており、『映画・日常の冒険』(1975年)、『猫日記』(1978年)、『ビデオメーキング コミュニケーションの新しい道具』(1979年)など、映像制作やメディアに関する著作は、後進の育成にも貢献している。

まとめ

川中宣弘氏は、8ミリ映画制作から始まり、アンダーグラウンド映画の上映活動、イメージフォーラムの設立・運営、そして数々の映像作品や著作を通して、日本の独立系映像文化に多大な貢献を果たした。彼の活動は、日本の映像史において重要な位置を占め、現代の映像作家たちにも大きな影響を与え続けている。彼の活動は、これからも日本の映像文化の発展に寄与し続けるだろう。

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