きく1号

きく1号 (ETS-I)

きく1号（Engineering Test Satellite - I、ETS-I）は、宇宙開発事業団（NASDA）が初めて打ち上げた人工衛星であり、技術試験衛星としての役割を果たしました。この衛星は、日本電気によって開発・製造されました。

目的

この衛星の打ち上げには、多くの目的がありました。まず第一に、N-Iロケットの性能を確認し、人工衛星の軌道への投入や姿勢制御、追跡、運用技術の習得を目指しました。打ち上げ時の機械的な環境条件や、軌道投入後の衛星の姿勢変化を測定し、衛星内外の環境についてのデータを収集するための重要な試験でもありました。さらに、この衛星は、後の実用衛星である電離層観測衛星に搭載される伸展アンテナについての技術データを得るための機会ともなりました。

開発

きく1号の概念設計は1970年に始まり、1971年には製作発注が行われました。1973年度にはプロトタイプモデル（PM）の製作と認定試験が終了し、1974年度にはフライトモデル（FM）の製作及びPMのプロトフライトモデル（PFM）への改修が行われました。その後、受け入れ試験を経て、1975年1月末にはNASDAに納入されました。その後、PFMは射場での射点設備やロケットとの整合性試験などに利用されました。

運用

この衛星は1975年9月9日にN-Iロケットの1号機によって種子島宇宙センターから打ち上げられました。打ち上げ時の環境測定は増田、勝浦、マーシャルの各追跡局によってデータが取得され、衛星と第3段との分離時には姿勢変動に関するデータも収集されました。9月11日からは、増田局において距離および距離変化率の測定による追跡実験が開始されました。そして、第28周回からは伸展アンテナの展開実験も行われ、伸展性が確認されました。10月13日以降には勝浦局の測定による追跡実験も実施され、システムの性能が評価されました。

衛星打ち上げ後の3ヶ月間にわたり、全ての実験は順調に実施され、その後も信頼性データや日照条件に関する熱設計の確認など、重要なデータの取得が続けられました。これらのデータは、今後の衛星設計にとって非常に貴重なものでした。きく1号の運用は1982年4月28日に終了しました。

脚注

具体的なデータや関連情報については、NASDAやJAXAの資料を参照してください。

関連項目

• - 宇宙開発事業団
• - N-Iロケット
• - きく (人工衛星)

外部リンク

• - 技術試験衛星I型「きく1号(ETS-I)」(JAXA)
• - きく （JAXA宇宙情報センター） - ウェイバックマシン（2010年5月14日アーカイブ分）
• - 宇宙航空研究開発機構資料編

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