きく3号

きく3号 (Engineering Test Satellite - IV, ETS-IV)

きく3号は、宇宙開発事業団（NASDA）によって打ち上げられた技術試験衛星です。この衛星は、技術試験衛星のIV型に属しますが、III型の衛星よりも先に打ち上げられたため、きく3号と名付けられました。

ミッションの目的

きく3号の主な任務は、大型衛星の開発に必要な技術を習得すること、搭載機器の機能を試験すること、およびN-IIロケットから静止トランスファ軌道への打ち上げ能力を確認することでした。また、打ち上げの環境条件をデータとして取得することも目的としていました。これにより、日本の宇宙技術の向上が期待されました。

特徴

きく3号は、宇宙開発事業団の持つ技術の集約によって開発され、既存の設備や装置を最大限に活用し、自主的にソフトウェアとハードウェアの開発を行いました。搭載された実験機器は、様々な研究機関から持ち込まれたもので、データレコーダは宇宙開発事業団が開発したものであり、スキャン型地球センサは航空宇宙技術研究所、ガリウムヒ素FET増幅器は日本電信電話公社横須賀電気通信研究所、またパルス型プラズマエンジン（PPT）は電子技術総合研究所によって開発されました。全体の質量は638kgで、そのうち328kgがアポジモータのダミーウェイトとして使用されていました。

開発と運用

開発は1976年度から始まり、衛星の概念設計及び予備設計が行われ、基本設計仕様が定められました。1977年度には本格的に開発が進められ、基本設計から詳細設計、プロトタイプモデル（PM）及びフライトモデル（FM）の製作と試験が行われました。

その後、1981年2月11日にN-IIロケット1号機によって種子島宇宙センターから無事に打ち上げられました。最初の運用段階では、搭載機器の機能チェックが行われ、その後、実験段階に移行しました。5月12日には予定されていた実験は全て完了しましたが、その後も搭載機器の点検を通じてデータ取得が続けられました。しかし、太陽電池の劣化により発生する電力が低下し、1984年12月24日には運用を終了しました。

結論

きく3号は、日本の宇宙技術の発展に寄与した重要な衛星であり、その運用期間中に多くの貴重なデータが得られました。これにより、将来の宇宙探索や宇宙技術の向上が図られることとなりました。

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