N-IIロケット

N-IIロケット

N-IIロケットは、日本の宇宙開発において重要な役割を果たした人工衛星打上げ用のロケットで、宇宙開発事業団（NASDA）と三菱重工業が共同で開発を行いました。米国のデルタロケット技術を基盤にしており、液体燃料を使用する3段式のロケットです。実用化を急ぐため、このロケットはデルタロケットからの技術導入を受けつつ、徐々に日本国内の技術での自立を目指す形で進められました。

概要

N-IIロケットの開発は1976年10月に始まり、前身であるN-Iロケットの経験を踏まえています。最初は、日本国内の技術だけで改良を進める計画でしたが、実際には十分な技術蓄積がなく、米国技術の導入が必須とされました。その結果、デルタロケットの技術を使った改良型第二段エンジン（AJ10-118F）が使用されることになりました。これにより、打ち上げ能力を高めることができましたが、最終的には国産化率が下がることとなりました。

1981年には最初のN-IIロケットが打ち上げられ、その後の1987年までに全8機の打ち上げが成功を収めました。これにより、日本の衛星打ち上げ能力が大きく進展しました。また、N-IIロケットの成功を受けて、1986年にはH-Iロケットが後継機として初飛行を果たしました。

諸元と構成

N-IIロケットは、「Straight Eight」形式の初期型であり、米国では未打ち上げとされています。利用されているエンジンや部品は次の通りです：

• - 第1段: MB-3-3エンジン（液体酸素とケロシンを推進剤とする）
• - 第1段補助ロケット: Castor II（固体補助ロケットをライセンス生産した）
• - 第2段: AJ10-1180FJおよびAJ10-118FJI（エアロジェット社製、軽量化がなされた改良型）
• - 第3段: Star-37E（サイオコール製の固体ロケット）

また、ペイロードフェアリングや誘導装置は、マクドネル・ダグラス製のデルタ用パーツを使用しています。

実績

N-IIロケットの当初の計画では3機の打ち上げが予定されていましたが、打ち上げに成功したことで、最終的に8号機まで運用されました。これは、N-IIの成功が日本の宇宙開発にとって重要なステップであったことを示しています。

宇宙開発事業団が手がけたこのロケットは、経済成長と技術向上を背景にしたものであり、後の日本の技術自立への道を開くキーポイントの一つとなりました。現在においては、N-IIロケットは日本の宇宙産業の礎であり、その成果は後のロケット開発にも大きな影響を与えています。

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