きらら397

きらら397（きららさんきゅうなな）

きらら397は、日本の北海道で開発されたイネの品種で、1990年に品種登録が行われました。登録番号は第2151号で、この品種は北海道米の味わいにおいて新たなイメージを創出し、良食味の特性が大いに評価されています。名前は公募で決定され、北海道米を親しみやすく呼ぶ先駆けとなったユニークな存在です。

育成と普及の経過

この品種は北海道立上川農業試験場で開発され、その跡地には2013年に記念碑が建立されました。1980年から始まった「優良米の早期開発試験」事業が、きらら397の誕生へと導きました。試験交配が1980年に始まり、1982年から数度の系統選抜を経て、1988年には奨励品種に決定されました。興味深いことに、名称は公募によりきらめく様子をイメージして選ばれました。

育成には「渡育214号」と「道北36号」を用いた交配が行われました。前者は良味品種ですが、耐冷性が課題であり、後者は耐冷性に優れていますが、食味に劣る特性を持っていました。開発初期には、「しまひかり」と「ゆきひかり」を組み合わせた品種も有望視されていました。

1980年代には、北海道産米はその味の不味さから評判が悪く、「やっかいどう米」と揶揄されることもありました。しかし、きらら397はこのイメージを一新し、1989年からの作付け開始後は独自の存在感を示しました。特に「ゆきひかり」との人気競争を経て、道内で最も栽培面積が広がった品種に成長しました。特に外食産業向けの販路拡大が成功し、米の販売も活況を見せました。

この品種は北海道産の良食味米として、その後に開発された「ほしのゆめ」や「ななつぼし」の基盤となっています。きらら397の派生品種である「ゆめぴりか」は、2008年に北海道の優良品種として選ばれました。

2018年には、道内での作付面積は9,752ヘクタールに達し、「ななつぼし」「ゆめぴりか」に続く存在感を示しました。

品種特性・用途

きらら397の特徴は、初期の生育が良好で穂数が確保しやすいことです。食味には多くの要素が関連していますが、特にアミロースの値が19%と北海道米として初めて20%を下回ったことは大きな成果です。これにより、粘り気が少なく、冷めても美味しい米となりました。

価格が手頃で、粒が大きく、吸水性の高い特性を持つため、牛丼チェーンの「吉野家」など、丼物を中心とした外食産業でよく使用されています。同社では専用に粘り気を少なくしたきらら397を主力の米として導入しています。このように、きらら397は牛丼に適した特性を持ち、大きな市場需要を受ける存在となりました。

ただし、きらら397は品種登録から30年以上が経過し、最近では新しい品種「ゆめぴりか」や「そらゆき」へのシフトが進んでいます。この流れによって、現在の作付面積は減少しています。

生育特性

北海道における生育特性について、播種日や田植え日、出穂期などの情報が具体的に記されています。例えば、播種日は4月19日、田植え日は5月24日、出穂期は7月27日となっており、登熟期は8月上旬から9月の中旬まで続きます。

このように、きらら397は一つのブランドとして日本の農業において重要な役割を果たし続けています。

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