きらり (曲)

きらり：藤井風の軽快なダンスポップとロングヒットの軌跡

2021年5月3日、シンガーソングライター藤井風の6作目の配信限定シングル「きらり」がリリースされました。Honda「VEZEL」のCMソングとして起用されたこの楽曲は、発売と同時に大きな注目を集め、その後もロングヒットを記録する人気曲となりました。

楽曲の誕生と制作背景

「きらり」は、Hondaの「GOOD GROOVE」キャンペーンの一環として制作されました。サウンドプロデュースは、藤井風のこれまでの作品でもタッグを組んできたYaffleが担当。レコーディングとミキシングは小森雅仁が手掛けています。興味深いことに、Aメロのメロディーは、藤井風がドン・キホーテで買い物をしている際に思いついたとのこと。楽曲のデモは、藤井風自身が「Kazenligh」と呼ぶ架空の言語による英語詞で制作されたそうです。

音楽性と評価

「きらり」は、4つ打ちのビートが特徴的な、軽快なダンスポップナンバーです。なだらかなAメロから、Bメロでのさりげない転調を経て、サビで一気に高音へと駆け上がる展開が魅力。音楽評論家からは、軽快なビートとリズミカルなギター、そして「さらり」「ほろり」「ゆらり」「きらり」といった韻を踏んだ歌詞が、楽曲全体の軽快さを生み出しているという高い評価を得ています。

音楽ライターの荻原梓氏は、藤井風の音楽が現代社会の疲弊感を癒やし、人々を元気づけていると評し、「きらり」については、現代社会の混沌とした状況を軽やかに駆け抜けるような爽やかさがあると絶賛しました。また、Billboard JAPANのライター栗本斉氏は、「きらり」のチャート成功要因として、ダウンロード、ストリーミング、YouTube再生数に加え、ラジオでの高いオンエア回数を挙げています。多くの楽曲ではリリースタイミングが過ぎるとラジオでのオンエアが減少する傾向がありますが、「きらり」は例外的に長期に渡り高いオンエア回数を維持し続けたことが成功の鍵となりました。

チャート成績とメディア露出

「きらり」は、リリース直後から各主要チャートで上位にランクイン。Billboard JAPANの「Download Songs」チャートでは初登場1位を獲得し、総合チャート「Hot 100」でも初登場2位という好成績を収めました。「Streaming Songs」チャートでもトップ10圏内を長期に渡り維持し、発売8週目には5位を記録。その後もメディア露出は少ないながらもトップ10前後をキープし続け、ストリーミング再生回数1億回突破という快挙を達成しました。

2021年の『第72回NHK紅白歌合戦』で披露されたことで再び注目を集め、各チャートで順位を大きく上昇させ、16週ぶりにトップ10に返り咲くという驚異的なロングヒットを記録しました。

ミュージックビデオとリミックス

「きらり」のミュージックビデオは、「もうええわ」のMVも手掛けたSpikey John監督が担当。藤井風とSpikey John監督の新たな試みが詰まった映像として高い評価を受けました。MV公開後には、藤井風本人によるアフタートークが生配信され、さらにメイキング映像も公開されるなど、ファンの熱狂的な支持を集めました。

2022年には、アジア4都市のDJによるリミックスが収録されたリミックスEP『Kirari Remixes (Asia Edition)』がリリースされ、楽曲の世界観はさらに広がっていきました。

まとめ

「きらり」は、キャッチーなメロディー、軽快なサウンド、そして巧みなマーケティングによって、ロングヒットを記録した藤井風の代表曲の一つとなりました。Honda「VEZEL」CMソングという起用も功を奏し、幅広い層に支持された楽曲と言えるでしょう。その人気は、単なる一時的なブームではなく、藤井風の音楽性の高さ、そして楽曲そのものの魅力を物語っています。今後も、この楽曲が長く愛され続けることは間違いありません。

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