きりん座

きりん座（Camelopardalis）

きりん座は現代の88星座のうちの1つで、17世紀に創作されました。この星座はキリンをモチーフとしており、天の北極に近い位置に存在するため、日本では一年を通じて見ることができます。面積が広い星座ですが、暗い星々が多いため目立つことは少なく、観察には工夫が必要です。

主な天体

恒星

2022年4月時点で、国際天文学連合（IAU）により2つの恒星に固有名が与えられています。

• - HD 104985：約330光年離れた黄色い巨星で、核融合によって輝く「水平分枝」の段階にあります。2003年にこの星系の外惑星が発見され、日本の研究チームによる初の系外惑星発見となりました。2015年の「NameExoWorlds」キャンペーンで、恒星にはアステカ神話の太陽神トナティウの名が与えられ、惑星は月の女神メツトリの名前がつけられました。
• - HD 32518：明るさ6.42等の6等星です。この星は2019年にドイツが命名権を受け、主星はMago、系外惑星はNeriと名付けられました。

この他にもいくつかの恒星が存在しています。例えば

• - α星：青色超巨星で明るさは4.29等。
• - β星：最も明るく見える星で、4.02等の黄色超巨星。
• - きりん座CS星：脈動変光星として知られ、約26.76日の周期で光度が変動します。

星団・星雲・銀河

• - NGC 2403：約1050万光年離れた渦巻銀河で、コールドウェルカタログ第7項に選ばれています。
• - IC 342：990万光年遠く、スターバースト銀河として知られ、最も明るい銀河の1つです。
• - MACS0647-JD：2012年に地球から最も遠い天体とされました。

由来と歴史

きりん座の起源は1612年。当時のオランダの神学者であり天文学者であったペトルス・プランシウスが、自作の天球儀においてキリンの姿を描いたことによります。キリンを表現する際に使用された「Camelopardalis」という名称は、古代ヘレニズム期の言葉に由来し、その形状をラクダとヒョウの特徴に喩えたものです。

この星座はその後、1624年にドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスにより文献に登場しますが、誤解も生じた時期がありました。星座名は時代によって「Camelopardalus」などと表記され、混乱が生まれましたが、1908年にエドワード・ピッカリングによって現在の「Camelopardalis」が標準化されました。

中国における位置づけ

中国の古代天文において、きりん座は「三垣」の「紫微垣」の一部として位置付けられていました。明るい星は少なかったものの、多くの暗い星が星官に配されていました。たとえば、天の北極近くの「北極」にはHD 112028が、隣接する「四輔」にはHD 89571とHD 90089が配置されました。

日本における呼称

日本では、明治末期から「麒麟」として知られており、1910年に天文学会の会誌にて正式に採用されました。これは後に学術的な用語としても使われ続け、1952年以降は「きりん」と呼ばれています。現代の中国では「鹿豹座」として知られていますが、一角獣座は「麒麟座」と呼ばれることがあります。

このように、きりん座は時代を超えて星座としての存在感を持ち続け、多くの人々に親しまれています。

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