ぎんが (人工衛星)

ぎんが (ASTRO-C) について

ぎんがは、日本のX線天文観測において重要な役割を果たした宇宙衛星です。これは旧文部省の宇宙科学研究所によって開発され、1987年2月5日に鹿児島県内之浦町からM-3SIIロケットによって打ち上げられました。ぎんがは日本で3番目のX線天文衛星であり、第11号科学衛星としても知られています。衛星の開発・製造は日本電気が手掛けており、当時の技術の集大成が凝縮されています。

打ち上げとミッションの概要

ぎんがは打ち上げ後、近地点506km、遠地点674km、軌道傾斜角31度の軌道に投入されました。日本初の三軸制御を採用し、X線天体を高感度で観測するミッションに特化して設計されていました。打ち上げから間もなくして、観測機器が起動し、超新星1987Aが発見されました。これにより、急遽観測体勢が整えられ、機器の較正と同時に超新星の観測が実施されました。この較正作業は3月に完了しました。ぎんがは1991年11月1日に大気圏に突入し、全ての機器が正常に機能したまま消滅しました。

観測装置の詳細

ぎんがにはいくつかの主な観測装置が搭載されていました。まず、大面積計数管（LAC）は、X線天体を精密に観測するための主力装置です。この装置は8基の比例計数管を連携させ、4000cm²の有効面積を持ち、視野は0.8°×1.7°。観測可能なエネルギー範囲は2-37keVですが、電圧を調整することで最大70keVまで対応可能です。先代である「てんま」では高エネルギー分解能に重点を置いていましたが、ぎんがでは感度の向上を図るために大型化し、エネルギー分解能は若干犠牲になっています。

全天モニタ（ASM）は、LACよりも広い範囲を計測する装置で、新たなX線源の発見を目指しています。エネルギー範囲は1-20keVで、衛星の自転を利用して1日に1回、広い領域を走査します。発見された新しいX線源は、LACによって細かく観測されます。

最後に、ガンマ線バースト検出器（GBD）は、ガンマ線バーストに伴うX線放射の観測用に設計されました。この装置は広範囲を高い時間・エネルギー分解能で観測するもので、エネルギー範囲は1-500keVに及びます。

ぎんがによる科学的成果

ぎんがは、宇宙の深遠な現象を解明するために多くの重要な観測を行いました。特にクェーサーにおけるガンマ線バーストの観測によって、クェーサー内部のブラックホールの活動が詳細に把握できました。また、多数の観測結果が次の観測目標の選定に活用されました。大マゼラン雲における超新星爆発の観察では、ガンマ線領域のニュートリノ凝縮の発見があり、小柴昌俊氏のノーベル賞受賞に貢献しました。

まとめ

ぎんがは、X線天文学の重要な発展を促進し、我々の宇宙に対する理解を深める助けとなりました。その技術と観測成果は、後の宇宙探査ミッションや研究においても重要な基盤となっています。

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