くちなしの花

「くちなしの花」は、1973年8月21日に渡哲也がポリドール・レコードから発表したシングル曲です。翌1974年に大ヒットし、渡哲也の代表曲として広く知られています。

制作の背景

プロデューサーの山口光昭がアルバム「海軍特別攻撃隊 遺書」を企画した際、遺稿集「くちなしの花」に出会いました。その詩に感銘を受けた山口は、花の歌を得意とする水木かおるに依頼し、本楽曲が制作されました。

曲の構成については、当初「今では指輪もまわるほど～」の部分は2コーラス目に配置されていましたが、遠藤実の「ここではもったいない」という意向により、1コーラス目の冒頭に変更されました。遠藤は、歌手としては素人であった渡哲也の立場を考慮し、「できるだけこねくり回さず、曲想をシンプルにして、音域を増やさないように心がけた」と語っています。

ヒットの経緯

前作「男の別れ歌」の売上が7,000枚程度であったため、「くちなしの花」の初回プレスは3,000枚でした。しかし、1974年に入ってから有線放送などで徐々に人気が高まり、オリコン週間チャートで最高4位を記録、最終的には90万枚を売り上げる大ヒットとなりました。この曲のヒットによって、渡哲也は1974年末の『第25回NHK紅白歌合戦』に初出場を果たしました。その後、1993年の『第44回NHK紅白歌合戦』でも歌唱しています。また、1982年の『第33回NHK紅白歌合戦』では、牧村三枝子が本楽曲を歌唱しました。

楽曲の使用

渡哲也が主演した映画『やくざの墓場 くちなしの花』では、同楽曲が使用されています。

エピソード

渡哲也自身は、この曲がヒットするとは予想していなかったようです。石原裕次郎は「この曲が流行ったら銀座を逆立ちしてやる」と言っていたというエピソードも残っています。

収録曲

1. くちなしの花
作詞：水木かおる、作曲：遠藤実、編曲：斉藤恒夫（3分30秒）
2. 通りゃんせ仁義
作詞：水木かおる、作曲：遠藤実、編曲：斉藤恒夫（3分53秒）

関連人物

* 京建輔 - 同曲の音楽プロモーター。

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