くにかぜII

くにかぜIIの概要

くにかぜIIは、1983年から2009年まで国土地理院によって運用されていた測量用航空機です。これは、国土地理院の初代航空機「くにかぜ」を後継する形で導入され、ビーチクラフトC90を改装して利用されました。海上自衛隊ではUC-90という名称で知られており、全国各地で航空測量や磁気測量を行うために使用されました。

沿革

くにかぜIIは1983年10月に運航を開始し、主に測量作業を行ってきました。初期の装備として、従来使用されていたRMKA-15/23型航空カメラに加え、国土地理院が新たに導入したRC-10型も搭載されました。1996年には、航空カメラがRC-30に更新され、GPS航法装置も加えられました。さらに2005年には、GPS/IMU装置が追加され、2007年からはデジタルカメラを導入して、地理空間情報や空中写真のデジタル化に対応しました。これにより、より精密な測量が可能となりました。

装備と性能

くにかぜIIの装備には、航空磁気測量用のセンサーや新型の記録装置が含まれていました。機体の性能としては、全長10.82m、全幅15.32m、全高4.33mであり、2基のプラット・アンド・ホイットニーPT6A-20ターボプロップエンジンが搭載され、最大速度は時速434km、巡航速度は時速402kmに達しました。航続距離は1,321海里（約2,125km）で、乗員は最大6名でした。しかし、追加機器による機体重量の増加により、デジタルカメラ使用時の航続時間は短縮され、最終的には2.5時間となってしまいました。

運用

運用は海上自衛隊徳島教育航空群第202教育航空隊に委託され、徳島航空基地を拠点に行われました。これにより、全国各地での航空測量や磁気測量に加え、阪神淡路大震災や三宅島の火山噴火、新潟県中越地震などの災害時にも航空写真撮影の任務を果たしました。このような活動を経て、くにかぜIIは2010年3月3日に運航時間の制限である9,000時間に達し、運用を終えました。最終的に、退役する2010年度末までに撮影した空中写真の総面積は582,570km²、撮影延長距離は209,391kmに及びました。

後継機と展示

後継のくにかぜIIIには、セスナ208B型が採用されていますが、防衛省が同型機を使用していないため、運航は民間に委託されています。具体的には、共立航空撮影によって運用されています。なお、くにかぜIIの撮影席は取り外された後、地図と測量の科学館の常設展示室で展示されています。

くにかぜIIは、航空測量の分野で多大な貢献を果たしてきた機体として、今もその活躍が称えられています。

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