くにさき (輸送艦)

海上自衛隊輸送艦「くにさき」(LST-4003)の概要

「くにさき」は、海上自衛隊が運用する輸送艦です。おおすみ型輸送艦の3番艦にあたり、その艦名は国東半島に由来しています。8,900トン型輸送艦として、中期防衛力整備計画に基づき建造され、2000年9月7日に日立造船舞鶴工場で起工、2001年12月13日に進水、そして2003年2月26日に就役しました。就役後は、呉に配備され、自衛艦隊第1輸送隊に編入されました。

多岐にわたる活動実績

「くにさき」は、就役以来、数々の重要な任務を遂行してきました。その活動内容は、国内外の災害派遣、国際貢献活動、そして他国との共同訓練と多岐に渡ります。

まず、災害派遣では、2004年スマトラ沖地震の被災地支援に、護衛艦「くらま」や補給艦「ときわ」と共に派遣されました。この活動では、救援物資に加え、CH-47JAヘリコプター3機、UH-60JAヘリコプター2機を輸送し、海上基地としての役割も担いました。2011年東日本大震災の際にも、災害派遣に参加。年次検査中でしたが、速やかに完工させ、広島県災害派遣医療チーム(DMAT)を乗せ被災地に向かい、救援活動に貢献しました。

国際貢献活動では、2010年と2014年には、「パシフィック・パートナーシップ」に参加し、カンボジアやベトナムで医療・文化活動を行いました。これらの活動は、アメリカ太平洋軍主催のものです。また、2016年には、タイで実施されたADMMプラス人道支援・災害救援及び防衛医学実動演習（AM-HEx2016）に参加しています。

他国との共同訓練においても、「くにさき」は重要な役割を果たしてきました。2010年には、輸送艦「おおすみ」と米海軍揚陸艦「トーテュガ」と共に輸送特別訓練を実施。2015年には、「ドーンブリッツ15」に参加し、水陸両用戦訓練を行いました。その他にも、フランス海軍、オーストラリア海軍、インド海軍との共同訓練にも参加し、日米共同訓練は複数回実施されています。これらの訓練を通して、国際的な連携強化に貢献しています。近年では、2022年のマラバール2022など、多国間共同訓練にも参加しています。訓練内容は、対潜戦、対空戦、洋上補給、ビーチング訓練、捜索救難訓練、PHOTOEXなど多岐に渡ります。

2019年には、オーストラリアでの訓練中に港の岸壁に衝突する事故もありましたが、その後も活動を継続し、2024年にはインド太平洋方面派遣（IPD24）に参加、マーシャル諸島共和国海上警察との親善訓練や、フランス領ポリネシアでの多国間訓練「MARARA24」、フランス海軍との共同訓練など、多様な任務をこなしています。同年、RIMPAC2024にも参加し、米海軍作戦部長リサ・フランケッティ大将が艦を視察するなど、国際社会での存在感を示しました。

輸送能力と多様な任務

「くにさき」は、その高い輸送能力と多様な任務遂行能力によって、日本の防衛力にとって重要な役割を担っています。災害発生時における迅速な支援、国際貢献活動への積極的な参加、そして他国との共同訓練を通じた連携強化など、幅広い活動実績を持つ「くにさき」の活躍は、今後も日本の安全保障に大きく貢献していくものと期待されています。

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