くらま (護衛艦)

護衛艦「くらま」(JS Kurama, DDH-144)

護衛艦「くらま」は、日本の海上自衛隊に属するしらね型護衛艦の2番艦であり、艦名は京都府の名山・鞍馬山に由来しています。この艦艇は、旧日本海軍の巡洋戦艦や航空母艦に続いて、3代目の「鞍馬」としての歴史を持ちます。

艦の概要と歴史

「くらま」は、1978年に石川島播磨重工業の東京第1工場で起工され、1979年に進水、1981年に就役しました。就役当初は第2護衛隊群に配属され、護衛艦「はるな」と共に佐世保に配備されました。この艦は、海上自衛隊の艦艇として初めてCIWS（近接防空火器）を装備しており、個艦防御能力を大幅に向上させる役割を果たしました。また、長距離潜水艦探知用の戦術曳航ソナーも搭載され、敵潜水艦の早期探知・撃破が可能となりました。

主な任務と訓練

「くらま」は1970年代から2000年代にかけて、数多くの訓練や演習に参加しました。その中でも、1984年には環太平洋合同演習（RIMPAC）に参加し、1990年や1991年にはグアム島方面での海上実習や米国派遣訓練にも従事しました。

1996年には、自衛艦として初めてロシアのウラジオストックを訪問し、その後も様々な国際共同訓練を実施。特に1998年には、「やまぎり」と共に再度ウラジオストックを訪れ、日露共同訓練にも参加しました。2001年にはテロ対策のためにインド洋に派遣され、情報収集任務を行いました。

衝突事故とその他の出来事

「くらま」は、海上での災害や事故にも見舞われてきました。2009年には、関門海峡で大韓民国のコンテナ船に衝突され、艦首が損傷しましたが、乗員に大きな被害はなく、10時間後に火が消されたものでした。

さらに、乗組員による不法侵入事件も報じられ、2014年には奄美大島で訓練中の海士長が現行犯逮捕される事態となりました。

最後の運命

「くらま」は、長年の活躍を経て、2017年に除籍されました。その間、観艦式では4回の観閲艦を務め、総航海時間は78,772時間という成績を誇ります。退役後は、潜水艦用新型魚雷の実艦的処分に使われることが発表され、2018年に実施されました。歴史的にも技術的にも重要な役割を果たした「くらま」は、海上自衛隊の中でも特に記憶に残る艦艇の一つです。

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