CIWS

近接防空システム（CIWS）について

近接防空システム（Close-in Weapon System, CIWS）は、軍艦などの艦船に搭載される防空用武器システムで、主に対艦ミサイルなどの高速度の空中脅威から艦艇を守るために設計されています。このシステムは、特に近距離での防空が求められる状況での最後の防御手段として機能し、性能とコストが大きく影響する非常に重要な武器です。

歴史的背景

第二次世界大戦以降、航空機の技術的進化により、特に攻撃機が高速化しました。その結果、以前主流だった短距離防空用の機関砲の効果が低下し、新たに5インチ（76–127 mm）口径の速射砲や、火器管制レーダーを組み合わせた新しい防空システムが求められるようになりました。この時期、アメリカ海軍は圧倒的な航空母艦を有し、ソビエト連邦の対艦ミサイル開発を脅威に感じつつも、遠距離での排除が可能と判断していました。

しかし、1967年に発生したエイラート事件により、この認識は大きく変わります。この事件では、旧式の艦船においても、優れた乗員が配置されて迎撃を試みましたが、P-15艦対艦ミサイルの攻撃を防ぐことができませんでした。この事例は、従来の防空システムが新たな脅威に対抗できないことを示しており、特にアメリカ海軍は対艦ミサイル防御（ASMD）の重要性を再認識しました。これを受けて1968年より、迅速に対艦ミサイルに対処するシステムの開発が始まりました。

CIWSの開発

このような背景の中で開発されたのがファランクスCIWSです。ファランクスは、機関砲と射撃指揮システムが統合されているため、非常に短期間で脅威に反応し、自動的に防御戦を行うことができます。また、火器管制レーダーを分離して遠隔操作を行うシステムも、近接防空を担うものとしてCIWSに分類されます。ファランクスなどでは、弾薬の直撃効果が重視されていますが、エリコン ミレニアムのように弾幕を形成するABM弾を使用するシステムも存在します。さらに、機関砲の他に小型の近接防空ミサイルを併用するシステムも開発されています。

各国のCIWS

とりわけ、近接防空システムは各国で異なる設計と仕様が存在します。以下は代表的なCIWSの例です。

• - アメリカ合衆国:

- ファランクス - 20mm口径のガトリング砲（M61 バルカン）を基にした防空システム。

• - イタリア:

- ダルド - 70口径40mm連装機関砲を分散配置した防空システム。

• - オランダ:

- ゴールキーパー - 30mm口径のガトリング砲（GAU-8 アヴェンジャー）を使用。

• - スイス:

- シーガード - 25mm4連装機関砲を用いたシステム。
- ミレニアム - 35mm口径のリヴォルヴァーカノンを利用。

• - スペイン:

- メロカ - 20mm口径・12砲身式の機関砲を搭載。

• - ロシア:

- ヴィンペル-A - 30mm口径のガトリング砲を使用したシステム。
- コールチク - 30mm口径のガトリング砲と近接防空ミサイルを一体化したもの。

• - 中国:

- 730型（H/PJ-12） - 30mm口径のガトリング砲を基にしたシステム。

このように、近接防空システム（CIWS）は、多種多様でそれぞれの国のニーズに応じた設計と運用が行われています。現代の海戦において、これらのシステムは艦艇の生存性を確保するための欠かせない要素となっています。

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