くりはま (試験艦)

くりはま（JS Kurihama）

くりはま（ローマ字：JS Kurihama、艦番号：ASE-6101）は、海上自衛隊で運用された試験艦です。この艦の名前は、歴史的な出来事に由来しており、ペリー艦隊が初めて日本に上陸した場所である神奈川県横須賀市の久里浜にちなんでいます。この艦は昭和53年度計画で建造され、海上自衛隊の試験用艦艇として特に魚雷の試験や研究開発に特化しています。

設計の特徴

試験艦であるくりはまは、主に艦船搭載装備の実験と開発を目的に設計されています。従来、自衛艦がこの役割を担っていましたが、部隊の活動による規制が多く、開発の効率化が求められていました。その結果、特化した試験艦の必要性が生じ、本艦が建造されるに至りました。

この艦の設計では、魚雷試験が重要視され、長船首楼型の船型が採用されています。後甲板は1段低く設計されており、試製魚雷の揚降が容易に行えるよう配慮されています。また、右舷側には力量5トンのクレーンが設置され、試験機器の搭載や運用が容易に行えるようになっています。

さらに、後甲板の隣接区画には計測室があり、計測機器のモニターがしやすくなっています。くりはまには、超音波測定装置や魚雷発射機装置も搭載されており、試験によって必要な計測機材は容易に出し入れできる設計です。ただし、後継艦の「あすか」と比べて、試験関係者の居住施設は限られており、日帰りの試験が主となりました。搭載艇としては、左舷側に11メートルの作業艇、右舷側に7メートルの作業艇が設置されていました。

主機関としては富士ディーゼル製の6S30B型4サイクル直列6気筒ディーゼルエンジンを2基搭載し、合計1,300馬力を発揮します。また、静粛性や低速運転を考慮し、ガスタービン主発電機からの電力を用いるターボ・エレクトリック方式にも切り替えが可能です。

艦歴

くりはまは、昭和53年度計画艦6101号艦として1979年に起工され、同年9月に進水、1980年4月に就役しました。この艦は開発指導隊群に編入され、横須賀に配備されました。その後も長い間、海上自衛隊の試験艦として機能し続けました。

1997年には、実艦標的として使用された旧護衛艦「ながつき」を用いてデータ収集を行い、2002年には開発指導隊群が開発隊群に改編されました。

さらに、2011年3月11日に発生した東日本大震災では、震災発生後46分で緊急出港し、災害派遣に応じました。最終的に、2012年4月6日に横須賀基地で自衛艦旗の返納式が行われ、くりはまは退役しました。また、約32年間の艦歴には、充実した航海があり、総航程は305,186マイル（約14.1周分）で、総航海時間は39,850時間に達しました。

このように、試験艦くりはまは、海上自衛隊において重要な役割を果たし、多くの試験およびデータ収集に貢献しました。

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