くる病

くる病についての詳細な解説

概要

くる病は、ビタミンDの不足や代謝異常によって引き起こされる骨の石灰化障害であり、主に乳幼児に見られます。この病気は、乳児期に発症する「くる病（rickets）」と、骨端線が閉鎖した後に見られる「骨軟化症（osteomalacia）」に分類されます。名称は、ギリシャ語の「rhakhis（脊椎）」に由来し、骨の成長障害に関連しています。

発症のメカニズム

くる病は、特に日照量が少ない高緯度地域に住む黒人などの人々がビタミンDの不足に陥ることで発症しやすいです。紫外線を十分に浴びることができず、食品からのビタミンD摂取も不十分だと、乳幼児にくる病が生じる可能性があります。さらに、紫外線を避ける生活を送る妊婦や母親が母乳を与える場合、赤ちゃんもビタミンD不足に陥るリスクが高まります。

歴史的背景

くる病の最初の報告は17世紀のイギリスにさかのぼります。その後、さまざまな研究が行われ、1913年には日光とくる病の関連性が確認されました。特に、タラの肝油に含まれるビタミンDがくる病に効果があることが1890年代に発見され、ビタミンDの重要性が広く認識されるようになりました。

症状

くる病の症状には、多様な骨の変形が含まれます。

• - 頭部: 頭蓋癆（頭蓋骨の軟化）
• - 胸部: 漏斗胸や鳩胸などの胸の形状の異常
• - 四肢: O脚やX脚の形成
• - 脊柱: 側彎、前彎、後彎

さらに、エナメル質の形成異常により、歯も影響を受けることがあります。

また、くる病に伴うカルシウム不足は、低カルシウム血症や副甲状腺機能亢進症を引き起こし、骨軟化症の症状を悪化させることがあります。症状には筋肉の痛みや弱さ、成長の遅れも含まれます。

診断と治療

診断には、血液中の25-ヒドロキシビタミンDの量を測定することが重要です。正常な状態の値は20 ng/mL以上とされています。

治療の基本は、ビタミンDやカルシウムの補充です。特に乳幼児の場合は注意が必要で、過剰投与は害を及ぼす可能性があります。ビタミンDの活性化が問題の場合は、活性型ビタミンDを用いることが推奨されます。

原因

くる病の原因は、遺伝と後天性の要因に大別されます。

• - 遺伝性: ビタミンD依存型くる病や低リン血症性くる病など。
• - 後天性: 不十分な栄養、特にビタミンDの摂取不足、紫外線不足、消化器系の問題などが影響します。

影響と懸念

長期的には、くる病は骨粗鬆症や、将来の糖尿病発症 risk を高めるとの研究も報告されています。特に、乳児期にビタミンDが欠乏した場合の影響は深刻です。

結論

くる病は、ビタミンD欠乏により骨に影響を与える病気であり、適切な治療と予防が重要です。日光に当たることや、ビタミンDを含む食品を摂取することは、予防において大きな役割を果たします。適切な栄養管理と紫外線への曝露を意識することで、くる病のリスクを低下させることが期待されます。

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