副甲状腺機能亢進症

副甲状腺機能亢進症：ホルモンの過剰分泌が引き起こす代謝異常

副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモン（PTH）が過剰になることで起こる病気です。このホルモンは、カルシウムとリンの代謝に重要な役割を果たしており、そのバランスが崩れると様々な症状が現れます。上皮小体機能亢進症とも呼ばれ、大きく分けて原発性と二次性の2種類があります。

1. 原発性副甲状腺機能亢進症：副甲状腺自身の異常が原因

原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体に異常があることが原因でPTHが過剰分泌される状態です。主な原因としては、副甲状腺腺腫（良性の腫瘍）、副甲状腺癌、副甲状腺の過形成などが挙げられます。

症状:

多飲多尿：大量の水分を摂取し、頻繁にトイレに行く症状。
骨の痛みや骨折：骨密度が低下し、骨折しやすくなります。
腎結石：カルシウムが尿中に過剰に排出されることで結石ができます。
倦怠感、食欲不振、吐き気などの全身症状

診断:

血液検査で、高カルシウム血症（血中カルシウム濃度の上昇）、低リン血症（血中リン濃度低下）、高PTH血症（血中PTH濃度の上昇）などが確認されます。また、尿検査、骨密度測定、画像検査なども行われます。

治療:

根本的な治療は、手術による副甲状腺の摘出です。薬物療法もありますが、手術が最も効果的です。

2. 二次性副甲状腺機能亢進症：カルシウム代謝の異常が原因

二次性副甲状腺機能亢進症は、カルシウム代謝の異常が原因でPTHが過剰分泌される状態です。PTHは血中カルシウム濃度を上げる働きがあるため、低カルシウム血症が続くと、それを補うようにPTH分泌が亢進します。大きく分けて栄養性と腎性があります。

2-1. 栄養性二次性副甲状腺機能亢進症：栄養の偏りが原因

カルシウムやリンの摂取不足、ビタミンD不足などが原因で低カルシウム血症となり、それに伴いPTH分泌が亢進します。

症状:

骨軟化症：骨が軟らかくなる病気
四肢の痺れや筋肉痛

診断:

血液検査で低カルシウム血症、高PTH血症などが確認されます。

治療:

カルシウムとリンの摂取バランスを改善し、ビタミンDを補給することが重要です。必要に応じて、カルシウムやビタミンDの製剤が投与されます。

2-2. 腎性二次性副甲状腺機能亢進症：腎臓の機能障害が原因

腎臓の機能障害により、カルシウムの尿中への排泄増加、ビタミンD産生低下が起こり、低カルシウム血症、それに伴う高PTH血症を引き起こします。特に、慢性腎不全の患者でよくみられます。透析を受けている患者では合併症として頻発します。

症状:

多飲多尿
骨軟化症
* 慢性腎不全症状

診断:

血液検査で、高PTH血症、低カルシウム血症、高リン血症などが確認されます。

治療:

腎機能の改善、カルシウム剤やビタミンD製剤の投与、リン制限食などが行われます。

まとめ

副甲状腺機能亢進症は、原発性と二次性で原因や治療法が異なります。適切な診断と治療を行うためには、症状や血液検査の結果などを総合的に判断する必要があります。早期発見・早期治療が重要です。

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