くろば温泉

富山県南砺市上平地区に位置するくろば温泉は、雄大な庄川の流れが作り出す小原ダム湖畔に佇む、日帰り利用専用の温泉施設です。周囲の自然豊かな景観に溶け込むように建てられており、訪れる人々に穏やかな癒やしの時間を提供しています。

歴史

くろば温泉の誕生は、かつてこの地が上平村だった時代に、地域の活性化を目指して計画された温泉掘削事業に端を発します。村の依頼を受けた三井金属神岡鉱業所と富山大学が地質調査を行い、その結果に基づいて1986年の春から秋にかけて、富山ボーリングによって地下1,200メートルを超える深さまで掘削が進められました。この試みにより、約35℃の温かい温泉が毎分40リットル湧き出すことに成功しました。施設名は、住民からの公募によって、この温泉が湧き出た場所に伝わる古い地名にちなみ「くろば温泉」と命名されました。そして、富山県内では初となる自治体直営の温泉施設として、1989年7月15日に待望の開業を迎えました。開館当初は上平村の運営でしたが、その後の市町村合併を経て南砺市に引き継がれ、2010年4月からは上平観光開発株式会社が指定管理者として施設の運営を担っています。運営体制の変更後、2010年4月21日には館内に食事処「味彩くろば」がオープンし、温泉とともに食事を楽しむことができるようになりました。

施設概要

くろば温泉の建物は、鉄筋コンクリートと一部鉄骨を用いた地上2階建てで、総延床面積は約1,118平方メートルです。館内には、日帰り温泉施設として必要な機能が充実しています。

浴場は男女別に分かれており、それぞれ広々とした内風呂、自然の風を感じながら湯浴みできる露天風呂、そしてサウナが完備されています。湯船に浸かりながら、またはサウナで心地よい汗を流しながら、日頃の疲れをリフレッシュできます。温泉以外にも、湯上りやくつろぎのための休憩スペースとして、広々とした大広間が設けられています。また、2階には地元産の食材などを活用した料理が味わえるレストラン「味彩くろば」があり、入浴前後に食事を楽しむことも可能です。

泉質と効能

くろば温泉の泉質は、「ナトリウム・カルシウム - 硫酸塩・塩化物泉」という特徴的な成分を含んでいます。泉質分類としては、低張性・弱アルカリ性の温泉です。源泉温度は、調査時点によって異なり、2002年時点では35.3℃でしたが、2024年時点では28℃となっています。動力揚水により、毎分66.0リットルと比較的多量の温泉が供給されており、源泉は地下1,259メートルの深さから汲み上げられています。pH値は7.7で、溶存物質の総量は5,714mg/kgです。

この泉質は、浴用として様々な身体の不調に対する効果が期待されています。例えば、神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、打ち身、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え症、慢性皮膚病、そして全身的な疲労回復などに良いとされています。ただし、これらの効能は一般的に期待される効果であり、すべての方に同様の効果が現れることを保証するものではない点にご留意ください。

利用案内

くろば温泉の営業時間は、午前10時から午後9時までとなっており、最終受付は午後8時30分です。定休日は毎週火曜日ですが、火曜日が祝日の場合は翌日が休みとなります。施設には50台収容可能な駐車場が完備されており、車でのアクセスも便利です。

小原ダム湖畔の静寂の中で、質の高い温泉と充実した設備を楽しむことができるくろば温泉は、日常から離れて心身をリフレッシュするのに最適な場所です。

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