くろべ (訓練支援艦)

訓練支援艦「くろべ」

「くろべ」(ローマ字: JS Kurobe, ATS-4202)は、海上自衛隊に属する訓練支援艦で、艦名は日本の美しい自然景観である黒部峡谷に由来しています。この艦の主な目的は、対空射撃訓練を支援することであり、無人標的機を見越した設計が施されています。

概要

「くろべ」は、経空脅威や防空兵器の性能向上に対応するために建造され、先代艦「はづま」の旧式化に伴い、その役割を引き継ぐ形で設計されました。平甲板型の艦型を持ち、前方には76mm単装砲が一基搭載されています。艦は、BMQ-34AJファイアービーおよびBQM-74EチャカⅢと呼ばれる無人標的機をそれぞれ4機ずつ、最大8機を搭載可能です。これらの標的機は後部の甲板から発射され、艦の上部には4面のフェーズドアレイ[[レーダー]]が設置されており、同時に最大3機を誘導・管制することが可能です。

艦歴

「くろべ」は、昭和61年度の中期防衛力整備計画に基づき、1987年7月31日に日本鋼管鶴見造船所で起工され、1988年5月23日に進水、1989年3月23日に就役しました。以降、自衛艦隊に直属する艦として呉に配備されました。

特筆すべきは、1990年に海上自衛隊の艦艇として初めて女性自衛官である松尾直子3尉が乗艦したことです。これにより、海上自衛隊における性別の多様性が一歩前進しました。1994年には護衛艦隊に編成替えされ、2008年には新編された第1海上訓練支援隊に「てんりゅう」と共に編入されました。

また、2011年には東日本大震災の震災派遣に参加し、被災地での救援活動を行っています。この艦は、国民に対する支援を再認識させる象徴的な役割も担っています。

除籍計画

2022年12月に発表された防衛力整備計画において、2027年度までに「くろべ」の除籍が予定されています。この決定は、艦艇の老朽化や新たな防衛ニーズに対する応えとして位置付けられています。そのため、現在は第1海上訓練支援隊に所属し、定係港は引き続き呉となっています。

歴代艦長

艦長の歴史や艦の成長過程は、海上自衛隊の任務と役割の重要性を示す証拠となります。艦長たちは「くろべ」を通じて、訓練支援や災害派遣活動を推進し、艦の運用を円滑に進める任務を担い続けてきました。

登場作品

「くろべ」は『SFX巨人伝説ライン』に登場することでも知られています。第10話では、舞鶴東港から出港し、能登半島沖での体験航海中に突如現れた怪獣によって崩壊の運命を迎える場面が印象的です。

参考文献

• - 石橋孝夫『海上自衛隊全艦船 1952-2002』（並木書房、2002年）
• - 『世界の艦船 増刊第66集 海上自衛隊全艦艇史』（海人社、2004年）

「くろべ」は日本の海上防衛に寄与してきた歴史ある艦艇であり、今後もその役割が国や社会において重要であることを多くの人々が理解していくことでしょう。

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