げっぷ

げっぷ（噯気）とは

げっぷとは、胃の中に溜まったガスが、食道、口腔を経て、音を伴って口から排出される現象を指します。医学的には「噯気（あいき）」と呼ばれ、一般的には「おくび（噯、噯気）」とも呼ばれます。

げっぷのメカニズムと要因

げっぷは、主に以下の要因によって発生します。

嚥下時の空気: 飲食の際、無意識のうちに少量の空気を飲み込んでしまうことがあります。この空気は胃に蓄積され、一定量に達すると、噴門部が開き、げっぷとして排出されます。
食べ過ぎ、炭酸飲料: 食べ過ぎや炭酸飲料の摂取は、胃内のガス量を増加させ、げっぷを引き起こしやすくなります。
消化器系の疾患: 食道裂孔ヘルニア、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、幽門狭窄症、胃がんなどの上部消化管の疾患が、げっぷの要因となっている場合もあります。これらの疾患は、消化機能の低下や胃の運動異常を引き起こし、ガスが溜まりやすくなることがあります。

検査への影響

上部消化管検査（バリウム検査）では、胃を膨らませるための薬剤を使用するため、げっぷが出やすくなります。しかし、げっぷをすると胃がしぼんでしまい、検査に支障をきたす可能性があるため、検査中はなるべく我慢する必要があります。

乳児のげっぷ

乳児の場合、授乳中にミルクと一緒に空気を飲み込んでしまうことがよくあります。この空気がお腹に溜まると、吐き戻しの原因となることがあります。そのため、授乳後には、腹部を軽く刺激するなどして、げっぷをさせてあげることが大切です。

げっぷとマナー

多くの国で、人前でのげっぷはマナー違反とされています。特に欧米社会では、げっぷは放屁よりも不快に思われる傾向があります。食事中や会話中など、人前でげっぷが出そうになった場合は、口を覆うなどして、周囲に配慮することが大切です。

家畜のげっぷと環境問題

国連食糧農業機関（FAO）の報告によると、世界の温室効果ガスの総排出量のうち、畜産業からの排出は14%を占めています。その中でも、牛のげっぷが大きな問題となっています。

牛は反芻動物であり、食物を消化する過程で大量のメタンを発生させます。メタンは二酸化炭素よりも温室効果が高く、地球温暖化への影響が懸念されています。牛肉生産による温室効果ガス排出量は、豚肉生産によるものの約4倍とする研究もあります。

農業・食品産業技術総合研究機構（農研機構）では、牛のげっぷに含まれるメタンを抑制するため、飼料の研究などが行われています。

また、マメ科植物やジャガイモなど、発酵しやすい餌を大量に食べた家畜に鼓脹症（第一胃鼓脹症）が見られる場合、腹部を藁などで刺激して曖気を排出させる応急措置が取られることがあります。

関連項目

空気嚥下症（呑気症）: 無意識のうちに大量の空気を飲み込んでしまう病気。げっぷやお腹の張りの原因となります。

げっぷは、生理現象であると同時に、健康状態やマナー、さらには環境問題とも深く関わっています。げっぷについて正しい知識を持ち、適切な対応を心がけることが大切です。

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