こうのとり (列車)

特急「こうのとり」：北近畿を駆け抜ける特急列車

特急「こうのとり」は、新大阪駅と兵庫県北部の豊岡市、城崎温泉、そして京都府北部の福知山市を結ぶ、JR西日本が運行する特急列車です。北近畿地方へのアクセスを担う重要な役割を担っており、多くの観光客やビジネス客に利用されています。本記事では、「こうのとり」の歴史、運行状況、停車駅、使用車両などについて詳細に解説します。

「こうのとり」誕生までの歴史：数々の優等列車の系譜

「こうのとり」は、福知山線における様々な特急・急行列車の歴史の上に誕生した列車です。そのルーツは、1986年11月1日の国鉄ダイヤ改正にまで遡ります。福知山線と山陰本線の電化を機に、それまで運行されていた特急「まつかぜ」、急行「丹波」「だいせん」が統合され、エル特急「北近畿」として運行が開始されました。

その後、2011年3月12日のダイヤ改正で、特急「文殊」「タンゴエクスプローラー」の福知山線内区間が「こうのとり」に統合され、福知山線を経由する特急列車は「こうのとり」に統一されました。この際、列車名は兵庫県豊岡市で繁殖が進むコウノトリにちなんで命名されました。この命名は地元自治体からの強い要望によるものです。

運行状況：多様な運行パターン

2024年3月16日現在、「こうのとり」は新大阪駅から城崎温泉駅、豊岡駅、福知山駅へと運行されています。運行本数は、新大阪 - 城崎温泉間が下り4本、上り5本、新大阪 - 豊岡間が下り1本、新大阪 - 福知山間が6往復です。さらに、金曜日、土曜日、休日には、新大阪 - 城崎温泉間1往復と新大阪 - 福知山間2往復が臨時列車として運行されます。列車番号は、毎日運転の列車が3000番台、週末・休日運転の列車が7000番台となっています。

かつては繁忙期に福知山駅発着の一部列車が天橋立駅まで延長運転されていましたが、現在は行われていません。しかし、多くの列車は福知山駅で「はしだて」「たんごリレー」「きのさき」などの他の特急列車と接続しており、スムーズな乗り継ぎが可能です。

停車駅：主要駅を中心に停車

「こうのとり」の停車駅は、新大阪、大阪、尼崎、宝塚、三田、篠山口、福知山、和田山、八鹿、江原、豊岡、城崎温泉です。一部列車は西宮名塩、新三田、相野、谷川、柏原、黒井にも停車します。かつては石生駅と市島駅にも停車していましたが、2011年3月11日からは全列車通過となりました。

使用車両：時代の変化と共に進化

「こうのとり」で使用される車両は、時代と共に変化してきました。初期には183系電車が使用され、その後287系、289系電車へと更新されています。287系は2011年から、289系は2015年から運用を開始しました。これらの車両は、快適な乗り心地と高い走行性能を誇ります。繁忙期には、他の路線で使用されている車両を増結して運用されることもあります。

過去の使用車両としては、183系電車（国鉄色やJR西日本オリジナル塗装の車両）、381系電車（国鉄特急色塗装）などがありました。これらの車両は、「こうのとり」の歴史を象徴する存在です。

臨時列車：季節ごとのイベント列車

「こうのとり」以外にも、季節限定の臨時列車が運行されることがあります。例えば、カニのシーズンには「かにカニエクスプレス」として「かにカニ北近畿」が運転されていました。

福知山線の優等列車の歴史

「こうのとり」は、福知山線を走る優等列車の歴史を継承する列車です。その歴史には、準急「丹波」、急行「はしだて」、特急「まつかぜ」、そして「エーデル鳥取」「エーデル北近畿」など、様々な列車が含まれています。これらの列車は、それぞれ時代背景や輸送需要の変化に合わせて運行形態を変えながら、北近畿地方への交通を支えてきました。

まとめ

特急「こうのとり」は、歴史と進化を繰り返しながら、現在も北近畿地方と新大阪を結ぶ重要な役割を担っています。快適な車両、便利な接続、そして美しい沿線の景色は、多くの利用客に支持されています。今後も、北近畿地方の観光や経済活動を支える、重要な交通手段として活躍していくことでしょう。

もう一度検索