こうのとり2号機

こうのとり2号機 (HTV-2)

こうのとり2号機は、日本が開発した[宇宙ステーション]]補給機(HTV)の2号機です。2011年1月に H-IIB[[ロケット]]2号機によって打ち上げられ、国際[[宇宙ステーション]への物資補給ミッションを遂行しました。このミッションはHTV-2と呼ばれています。

特徴

こうのとり2号機は、技術実証機であるHTV1の運用実績を基に、様々な改良が施された運用機です。主な変更点は以下の通りです。

与圧部内物資搭載場所の拡張: 空調系や照明装置の配置を変更し、搭載スペースを拡大しました。
国産機器への変更: 与圧部内の照明の一部を国産LED照明に変更し、近傍通信装置の一部も国産の送受信機に変更しました。
デモンストレーション運用の削除: HTV1で行っていたデモンストレーション飛行を廃止し、一次電池の数を削減、推進薬の搭載量も減らし、貨物搭載能力を約4.5tから最大6.0tに増加させました。
その他: HTV補給ラックの物資搭載能力の向上、一次電池の性能向上、誘導制御ソフトウェアと航法センサソフトウェアの改修、姿勢制御スラスタの温度センサを耐熱性の高い白金センサへの変更などが行われました。

搭載物資

こうのとり2号機は、合計5.3トンの物資を搭載しました。内訳は、与圧部に4トン、非与圧部に1.3トンです。

与圧部

与圧部には、宇宙システムコンポーネントが51%、食料が24%、科学実験材料が10%、クルー用物資が8%、水が7%搭載されました。特に、重要な物資として、勾配炉ラックと多目的実験ラックが搭載されました。

勾配炉ラック: 高温電気炉で、高品質な結晶の生成に使用されます。
多目的実験ラック: ワークボリューム、ワークベンチ、小型実験エリアの3つのコンポーネントから構成され、微小重力や宇宙放射線の影響を調べるための実験に使用されます。水生生物を使った実験も計画されました。

これらのラックは「きぼう」日本実験棟に運び込まれ、その利用の第2フェーズが開始されました。また、今回のミッションから、水は種子島で積載されることになりました。

非与圧部

非与圧部には、NASAのフレックス・ホース・ロータリ・カプラとカーゴ輸送コンテナの2つの軌道上交換ユニットが搭載されました。これらの貨物は、デクスターロボットアームを使ってISSの外部に取り付けられました。

運用

こうのとり2号機の運用スケジュールは、スペースシャトルSTS-133ミッションの遅延の影響を受けました。当初、ISSへの係留期間は40日間を予定していましたが、スペースシャトルの荷物輸送とISSで発生した廃棄物回収のため、設計寿命に近い約2ヶ月間の滞在に変更されました。

打ち上げとランデブー

2011年1月22日に種子島宇宙センターから打ち上げられた後、1月27日にISSとのランデブーを開始し、カナダアーム2によって捕捉され、ハーモニーモジュールの天底側ポートに係留されました。この際、カナダアーム2の操作は、キューポラのロボットアームステーションから、キャスリン・コールマン飛行士とパオロ・ネスポリ飛行士によって行われました。

係留中の運用

係留中、クルーは物資の搬入と実験装置の設置を行いました。また、スペースシャトルとの干渉を避けるため、一時的に天頂側ポートに移動されました。この期間中、ISSには複数の宇宙機がドッキングしており、宇宙開発における国際協力の象徴となりました。スペースシャトルの退役が決まっていたため、現役宇宙機が勢揃いする最初で最後の機会となりました。STS-133ミッション終了後、こうのとり2号機は再び天底側ポートに戻されました。

東日本大震災の影響

こうのとり2号機のISS滞在中の3月11日に東日本大震災が発生し、筑波宇宙センターの管制機能が一時的に停止しました。NASAの協力によりジョンソン宇宙センターで運用を継続し、後に筑波宇宙センターでの運用を再開しました。

地球大気への再突入

2ヶ月間のISS滞在後、3月28日にISSから離脱し、3月30日に大気圏に再突入しました。再突入の様子は、搭載されていたデータ収集装置によって記録されました。

その他

東日本大震災の影響で管制業務に支障が出た際、NASAの協力でミッションは続行されました。また、ISSクルーは、折り鶴を作成し、次の言葉を添えてHTV2に格納しました。「困難に立ち向かう日本の皆さんへ、私達の連帯の証として、そして宇宙からの希望を込めて」

当時のISS搭乗クルー

スコット・ケリー (NASA) - 船長
アレクサンドル・カレリ (FKA)
オレグ・スクリポチカ (FKA)
ドミトリー・コンドラチェフ (FKA)
キャスリン・コールマン (NASA)
パオロ・ネスポリ (ESA)

こうのとり2号機