こうべバイオガス

こうべバイオガスの取り組み

こうべバイオガスは、神戸市、神鋼環境ソリューション、そして大阪ガスと連携したプロジェクトであり、下水処理場で生じる消化ガスを原料としてバイオガスを精製し、自動車燃料や都市ガスとして活用する試みです。これにより、地域の廃棄物を活用することで持続可能なエネルギーの創出を目指しています。

神戸市東灘処理場

神戸市の東灘区に位置する東灘処理場は、1974年から運転を開始し、現在では神戸市内にある6つの下水処理場の中で重要な役割を果たしています。この処理場では、一日あたり229,500m³の下水を処理し、約39万人の住民からの排水を担っています。

1995年の阪神・淡路大震災では、施設が被害を受けて一時的に運用が中断されましたが、復旧作業を経て、1998年までには完全な運用再開を果たしました。

この処理場では、下水の処理過程でどうしても発生する汚泥の減容化を行うため、卵型のタンクで嫌気性発酵を実施しています。この過程で発生するのが消化ガスで、主にメタン（約60%）と二酸化炭素（約37%）から構成されています。これらのガスを効率的に利用するために、2006年から高度な消化ガス精製装置が設置され、ガスの浄化が行われています。

ガスの精製と利用

消化ガスを精製する手法として、9気圧の環境下で高圧水とガスを接触させ、特有の不純物を取り除く工程が採用されています。この過程を経ることで、メタンの濃度は98.2%に達し、使用に適した状態となります。特に重要なのは、シロキサンという不純物の除去であり、この成分は燃焼時に問題を引き起こす可能性があります。

さらに、2013年からは「KOBEハーベストプロジェクト」として、リンの回収に関する実証実験も実施されており、今後の持続可能な資源利用の展望が期待されています。

自動車燃料としての活用

こうべバイオガスは、2008年から神戸市バスの路線バスに燃料として供給を開始しました。現在では、同処理場から脱水ケーキを運搬する車両や、物流業者の集配車両にも利用されるなど、地元の交通手段に大きく貢献しています。

都市ガスへの導入

また、バイオガスの利用は自動車燃料のみならず、都市ガスにも及んでいます。2009年以降、過剰に発生したバイオガスを燃焼処分していたものの、プロパンを添加し、熱量や匂いを調整することで、大阪ガスの供給ネットワークへの直接注入が可能となりました。2010年からは日本初の試みとして正式に導入され、80万m³の供給を達成しました。

さらに、2012年からは「KOBEグリーン・スイーツプロジェクト」を展開し、食品残渣を側にして下水処理を行うことで、さらなる都市ガスの生産を目指しています。このプロジェクトにおいては、シンプルなリサイクルの手法が採用されており、地域の資源を最大限に活用しています。

こうべバイオガスの取り組みは、地域の環境問題解決やエネルギー資源の有効活用に向けた道を開くものであり、今後の持続可能な社会の確立に寄与するプロジェクトとなっています。

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