消化ガス

消化ガスについて

消化ガスとは、バイオガスに分類される一種で、主に下水汚泥の嫌気性発酵によって生成されます。このプロセスは、環境に優しいエネルギー源を提供する途上で重要な役割を果たしています。特に、メタンを主成分とし、温室効果ガスの一つである二酸化炭素や、微量の硫化水素、アンモニアなどが含まれている点が特徴です。メタンの割合は全体の約55〜60%を占めており、発熱量は約5,500〜6,000 kcal/Nm3に達します。

成分の詳細

消化ガスの主要成分であるメタンは、温室効果が非常に強いことから、その回収と利用が特に重要です。二酸化炭素は使用されない場合、そのまま大気中に放出されることがありますが、処理場内での有効利用の際は除去されることがあります。また、汚泥由来の不純物もあり、その中でもシロキサン（シリコンオイル由来）は、ガスを燃焼した際に生じる二酸化ケイ素が機器に堆積し、故障を引き起こす要因となるため、その除去が不可欠です。

精製プロセス

下水処理場では、汚泥が沈殿地で分離された後に、消化タンクでメタン発酵のプロセスが行われます。この過程では、汚泥が減容化され、消化ガスの生成も行われます。発酵は様々な温度環境下で行われ、その際には消化ガスを燃焼させた熱を利用して加温することが可能です。このようにして生成された有機酸やアンモニアは、過程の際に発酵を阻害する要因でもあるため、注意が必要です。

1980年代からは、ドイツのディビダーク社が開発した特殊な卵型タンクが多くの場所で採用されており、これにより曝気のための動力が不要であることや匂いの拡散が軽減されるという特性があります。

利用方法

日本国内の約1900か所の下水処理場のうち、消化ガスを生成する施設は300か所ほどであり、2002年の統計によると約7割が有効利用されています。消化槽の加温に使用されるガスが約5割を占め、残りのガスは発電や焼却炉の助燃として使用されます。また、近年では燃料電池の電力供給にも利用されており、処理場内での利用は「オンサイト利用」と呼ばれています。

一方、自動車燃料や都市ガスとして利用されるものは「オフサイト利用」とされ、精製された消化ガスは天然ガスと似た特性を持ち、自動車の燃料としても使用されています。実際に、特定の下水処理場から都市ガスが販売されるケースも多く見られます。

冬季には、消化槽の加温に使用するガスが増えるため、オフサイト供給量が減少する傾向にあります。消化ガスの有効利用は、エネルギー問題への解決と地球温暖化への対策の両立において重要な役割を担っているのです。

参考文献

• - 澤山茂樹『トコトンやさしいバイオガスの本』日刊工業新聞社、2009年
• - 横山伸也『バイオマスで拓く循環型システム』工業調査会、2003年
• - Heinz Schulz, Barbara Eder 著、浮田良則 訳『バイオガス実用技術』オーム社、2002年

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