こしの国広域事務組合

福井県に存在した広域の特別地方公共団体、こしの国広域事務組合は、福井市の一部（旧美山町域）と吉田郡永平寺町を構成団体としていました。この組合は、主に地域における情報通信基盤の整備とケーブルテレビ事業を運営するために設立され、地方公営企業としての性質も持ち合わせていました。2002年 10月1日に発足し、その役目を終えたのは2018年 3月31日です。

設立の背景と沿革

こしの国広域事務組合の設立は、構成する市町村における情報化の推進と地域住民サービスの向上を目指す動きから生まれました。その前身として、2001年 1月18日には足羽郡美山町（現在の福井市）と、吉田郡の松岡町、永平寺町（旧）、上志比村（現在の永平寺町）の4町村が「こしの国情報網整備協議会」を設置しています。この協議会での検討を経て、翌2002年 10月1日、これら4町村により、情報通信基盤整備事業と並行して介護認定事業も行う一部事務組合として正式に設立されました。

しかし、組合の歩みの中で重要な転換期が訪れます。2006年2月、関係する全ての自治体が関わる大規模な市町村合併が行われたのです。美山町は福井市に編入され、松岡町、永平寺町（旧）、上志比村は合併して新たに永平寺町となりました。この再編に伴い、組合はその事業内容を見直しました。介護認定事業は福井市と新・永平寺町へそれぞれ移管され、組合の事業はケーブルテレビ関連事業に特化されることになったのです。

ケーブルテレビ事業：こしの国ケーブルテレビ

組織再編後、組合の中心的な事業となったのは、自らが運営するケーブルテレビ網を通じた各種サービスの提供でした。「こしの国ケーブルテレビ」の名称で地域住民にサービスを提供し、2006年 10月1日には本放送が開始されました。総務省北陸総合通信局からの設置許可を得て、地上波放送の再送信に加え、BS放送やCS放送（東経110度）のパススルー再送信にも対応していきました。また、地域独自の情報を発信するコミュニティチャンネルや行政チャンネルのアナログ自主放送も行っていました。

アナログ放送からデジタル放送への移行期においては、サービス内容にも変化がありました。2011年7月24日には地上アナログ放送やBSアナログ放送の再送信、コミュニティチャンネルなどのアナログ自主放送を終了しました。さらに同年9月30日には放送大学テレビやグリーンチャンネル（アグリネット）のアナログ再送信・自主放送も終了し、アナログテレビ放送としてはお天気チャンネルの自主放送のみが残る形となりました。

こしの国[ケーブルテレビ]]のサービスエリアは、設立時の構成自治体の範囲を概ね引き継いでおり、福井県吉田郡永平寺町全域と、福井県福井市の旧美山町地区でした。福井市のその他の区域は、別の事業者である福井ケーブルテレビ]のサービスエリアとなっていました。料金体系については、月額1,470円（[[消費税込、NHK受信料を除く）という形で、各戸一律の金額が設定されていました。

インターネット事業：こしの国光インターネットサービス

ケーブルテレビ回線を用いた情報通信事業として、組合はインターネット接続サービスも提供していました。「こしの国光インターネットサービス」と称されたこの事業は、NTTビジネスソリューションズに委託される形で運営されていました。最大速度は下り・上りともに100Mbpsのベストエフォート型でしたが、実測値はこれを大きく下回る場合もあったとされています。サービス提供にあたっては、ケーブルテレビ回線終端装置から光ケーブルを屋内に配線し、その終端に光回線終端装置（ONU）をNTTビジネスソリューションズが設置する方式が採用されていました。

組合の終焉と事業移譲

地域における情報通信インフラの整備と運営に携わってきたこしの国広域事務組合ですが、その役割を終えることとなりました。2018年 3月31日をもって組合は解散し、その事業は翌2018年 4月1日付けで、既に福井市の他の区域でケーブルテレビ事業を展開していた福井ケーブルテレビへと移譲されました。これにより、旧組合のサービスエリアであった地域におけるケーブルテレビ・インターネット事業は、福井ケーブルテレビが一元的に担うことになりました。

組合の事務所は、福井県吉田郡永平寺町東古市10-5にある永平寺町役場永平寺支所庁舎の1階に置かれていました。組合の代表者である管理者には、永平寺町長であった松本文雄氏が就いていました。

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