特別地方公共団体

特別地方公共団体とは

特別地方公共団体とは、日本の地方自治法において、普通地方公共団体（都道府県、市町村）以外の法人として位置づけられる地方公共団体のことです。これらの団体は、特定の目的や地域ニーズに対応するために設置され、地方自治制度において重要な役割を担っています。

地方自治法に規定される特別地方公共団体

地方自治法には、以下の特別地方公共団体が規定されています。

1. 特別区：
東京都にのみ設置されている、区の区域を単位とする基礎的な地方公共団体です。特別区は、市町村と同様の行政サービスを提供しますが、東京都との間で権限や財源の配分が異なります。
2. 地方公共団体の組合:
複数の普通地方公共団体や特別区が、特定の事務を共同で処理するために設立する法人です。具体的には、消防、上下水道、ごみ処理、福祉、学校運営、公営競技など、広域的な連携が求められる事務を共同で実施します。
地方自治法第285条の2に基づき、都道府県知事は、関係する市町村や特別区に対し、一部事務組合や広域連合の設置を勧告することができます。
一部事務組合の代表は管理者であり、企業団の場合は企業長が務めます。または、管理者や企業長に代えて理事会を組織することも可能です。広域連合の代表は広域連合長が務め、広域連合企業団の場合は企業長が務めます。または、長に代えて理事会を組織することも可能です。
一部事務組合には副管理者、議会、監査委員などが設置され、広域連合には副広域連合長、議会、監査委員、選挙管理委員会などが設置されます。
一部事務組合：特定の事務を共同で処理するために設置される組合です。設立には関係地方公共団体の協議と規約の策定、許可が必要です（地方自治法第284条2項）。
複合的一部事務組合：公営企業の共同運営を目的とする一部事務組合で、企業団とも呼ばれます。
広域連合：広域的な事務処理を目的として、広域計画を策定し、関係地方公共団体の協議と規約の策定、許可を経て設置されます（地方自治法第284条3項）。
広域連合の議会議員は、住民投票または組織する地方公共団体の議会で選挙され、長は、住民投票または組織する地方公共団体の長の投票により選挙されます（地方自治法第291条の5）。
広域連合には直接請求も認められています（地方自治法第291条の6）。
広域連合企業団：公営企業を共同運営する広域連合です。
3. 財産区：
市町村合併の際、旧市町村が所有していた財産を新市町村に引き継がず、旧市町村の区域で管理・処分するために設置される行政組織です。
地方自治法第三篇第四章（第294条〜第297条）に規定されています。

特別な法律による特別地方公共団体

1. 合併特例区:
市町村合併の際に、合併前の市町村単位で運営されていた集会所などの管理を、新市町村に引き継がず旧市町村の区域で運営するために設置される行政組織です。
市町村の合併の特例に関する法律に規定されています。
2024年12月現在、合併特例区は存在しません。

廃止された特別地方公共団体

1. 特別市：
1947年の地方自治法制定から1956年まで存在した制度ですが、実際に指定された例はありませんでした。
1956年に廃止され、同時に政令指定都市制度が創設されました。政令指定都市は普通地方公共団体です。
2. 全部事務組合・役場事務組合：
2011年8月1日に廃止されました。
3. 地方開発事業団：
複数の普通地方公共団体が共同で事業を行うために設置された行政組織ですが、2011年8月1日に制度が廃止されました。事業内容は、住宅、工業用水道、道路、港湾、水道、下水道、公園緑地などの施設建設、用地取得、土地区画整理事業などでした。

関連事項

行政
地方自治法
地縁

外部リンク

広域連合（総務省）


これらの特別地方公共団体は、それぞれの目的と役割に応じて、地方自治における多様なニーズに対応しています。廃止された制度についても、地方自治制度の変遷を理解する上で重要な要素となります。

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