こじま (巡視船・2代)

海上保安庁巡視船「こじま」(PL-21)：海上保安大学校の練習船

「こじま」(JCG Kojima, PL-21)は、かつて海上保安大学校の練習船として活躍した、海上保安庁所属の巡視船です。本船は、老朽化した前任船に代わる新しい練習船として建造されました。

前任船と建造の経緯

1951年から1954年6月までは「栗橋」が海上保安大学校の練習船として運用されていましたが、老朽化が進んだことから、代船の建造が決定されました。旧海軍海防艦を改造した「こじま」がその役割を担っていましたが、これも老朽化が著しく、昭和38年度の概算要求において、新たな練習船の建造が盛り込まれたのです。そして、昭和39年度の国庫債務負担行為歳出分からの予算追加もあり、総額4億530万4000円の予算が計上され、本船「こじま」が建造されました。

設計と特徴：遠洋航海も視野に入れた設計

「こじま」の船型は、長船首楼型中央機関室型です。アメリカ西海岸への遠洋航海も想定した設計となっており、学生の居住区は全て空調完備でした。船尾側には、全学生を収容可能な食堂兼教室が配置され、快適な学習環境が提供されました。その他、船長公室、教官室、学生図書室なども備えられていました。

水線下形状は、主機関を連続最大出力の85パーセントで運転した状態での最適な船型となるよう設計されています。主機関には、スルザー社製7MD51ディーゼルエンジンを浦賀重工業（旧玉島ディゼル工業）社がライセンス生産したものが搭載されました。

機関の自動化と合理化への取り組み

機関の自動化・合理化のため、機関室内に制御室が設置されました。この制御室からは、主機関の遠隔操縦、エンジンテレグラフ、機関計器の自動監視、主機関データの自動記録、補機操縦の自動化と遠隔指示（一部）、電動補機の集中制御化（一部）、重油重力タンク油面の遠隔指示などが可能でした。

しかしながら、練習船としての機能も重視した結果、機関室は実習のための十分なスペースを確保する必要がありました。そのため、1基1軸推進という設計上の制約があり、遠洋航海中に機関の不調で困難を極めたこともあったと伝えられています。

まとめ

「こじま」は、時代の要請に応えるべく、機関の自動化・合理化と、快適な学習環境の両立を目指した設計がなされた練習船でした。その設計思想は、後の練習船の設計にも大きな影響を与えたと言えるでしょう。しかし、1基1軸推進という制約は、遠洋航海における運用上の課題を残すこととなりました。この経験は、以降の練習船の設計において、より高い信頼性と航海能力の確保が重要視されるようになった要因の一つと言えるでしょう。

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