スルザー

スルザー：スイスの多角的機械メーカー

スルザー社は、1834年にスイスのビンテルトゥールで設立された歴史ある機械メーカーです。創業当初は紡績機や織機製造が中心でしたが、1893年にルドルフ・ディーゼルが発明したディーゼルエンジンの特許を取得したことをきっかけに、事業領域を大きく拡大しました。1898年には最初のディーゼルエンジンを製造し、1930～40年代には同社製のディーゼルエンジンを搭載した機関車が、ヨーロッパや南アメリカを中心に世界中で活躍しました。日本でも船舶や機関車などにスルザー製のディーゼルエンジンが使用されていました。

事業内容

現在、スルザー社は大きく4つの事業部門から構成されています。

1. ポンプ機械装置

ポンプの製造とアフターサービスを主要な事業としています。様々な用途に対応した高品質なポンプを提供し、顧客のニーズに応じたメンテナンスサービスも展開しています。

2. 回転機械装置サービス

タービン、ポンプ、コンプレッサー、モーター、発電機など、回転機械装置の保守・メンテナンスを専門的に行っています。長年の経験と高度な技術力によって、顧客の設備の安定稼働と効率的な運用を支援しています。

3. ケムテック

化学工業分野に特化した装置の製造とアフターサービスを提供しています。分離カラムやスタティックミキサーなど、化学プラントの効率的な運転に不可欠な装置を開発・製造し、顧客の生産性向上に貢献しています。

4. アプリケーターシステムズ

医療用混合器具や、医療・工業用注入器具の製造とアフターサービスを行っています。高度な技術と品質管理の下、安全で信頼性の高い医療機器を提供し、医療現場や工業分野の進歩に貢献しています。

歴史

スルザー社の歴史は、ディーゼルエンジンとの深い関わりとともに歩んできました。ディーゼルエンジン製造部門は、1990年に独立子会社として設立され、後にフィンランドのバルチラ社と合併しています。2000年には、タービン製造部門をMANグループに売却するなど、事業ポートフォリオの最適化も積極的に進めてきました。2007年には、ロシア企業のレノヴァが筆頭株主となりました。現在も、世界各国で事業を展開し、多様な業界に貢献し続けています。

スルザー社は、1898年に製造した定置式蒸気機関を、トヨタ産業技術記念館に展示しています。同館では、日本の産業技術発展の歴史を知る上で貴重な資料となっています。

関係企業

スルザー社の歴史と事業内容を理解する上で、関連性の高い企業をいくつか挙げておきます。ディーゼルエンジンの発明者であるルドルフ・ディーゼル、ディーゼルエンジン事業で合併したバルチラ社、タービン事業を売却したMANグループなどが挙げられます。また、日本の国鉄DF50形ディーゼル機関車（0番台）は、スルザー製エンジンの三菱重工業によるライセンス生産エンジンを搭載しています。

まとめ

スルザー社は、1834年の創業以来、常に技術革新に挑戦し、事業領域を拡大し続けてきた老舗機械メーカーです。ディーゼルエンジン製造から始まり、現在はポンプ、化学プラント装置、医療機器など多様な製品を手がけ、世界中で事業を展開しています。今後も、技術力と顧客への信頼を基盤に、更なる発展が期待されます。

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