こじま (巡視船・3代)

巡視船「こじま」(PL-21)の概要

「こじま」は、海上保安庁が運用する巡視船です。就役当初は呉海上保安部に所属し、その後、海上保安大学校の練習船として活躍しました。4代目となる練習船として、本科生や専攻科・特修科の研修生を対象とした教育訓練や航海実習に大きく貢献しました。

建造費用は49億4100万円にのぼり、1,100トン型だった先代の「こじま」と比べ、3,000トン型へと大幅な大型化が図られました。これは、搭載機材の充実と居住性の向上を両立するためです。

船内は、教育実習区画、乗組員居住区、学生居住区の3つに区画されています。操舵室や通信室、機関制御室は、学生の見学や実習を考慮し、広々とした設計となっています。航法・通信システム、機関、警備救難業務機材など、最新の装備を備え、快適な居住空間も確保しています。上部構造物後部には、雨天時のレセプションにも使用可能なトレーニング区画が設置され、船橋構造内には要人のための特別公室も設けられています。

船型は先代と同じ長船首楼型ですが、造波抵抗を低減するためのバルバス・バウを採用しています。主機関は、新潟鐵工所製の8MG32CLX中速ディーゼルエンジン2基（4,000馬力/650rpm）を搭載。ヘリコプター1機搭載型巡視船とほぼ同じ構成の機関区画を持ち、操舵室と機関制御室からの制御、制御室からの監視が可能です。実習のための機関演習区画も備えています。

搭載艇は、7メートル型高速警備救難艇と6メートル型作業艇各1隻、全天候型救命艇2隻を備え、国際航海にも対応可能です。船尾甲板は訓練甲板として使用されますが、ヘリコプター甲板としても使用できるように設計されています。

「こじま」は巡視船であるため、救難活動にも従事できます。阪神・淡路大震災の際には、救援物資の輸送などにも貢献しました。

後継船と今後の展開

2020年度の第三次補正予算において、新たな大型練習船の建造が決定しました。全長約134m、総トン数約5,500トン、実習生定員100名という大型の練習船で、2024年に竣工予定です。この新造船は「いつくしま」と命名され、2024年7月1日に引き渡されました。

さらに、令和4年度補正予算では、「みずほ」をベースとした国際業務対応・練習船の建造も決定しました。竣工予定は令和8年度ですが、配属先や運用方法などの詳細はまだ公開されていません。

「こじま」は、長年にわたり海上保安大学校の教育訓練に貢献しました。後継船「いつくしま」の就役により、その役割は引き継がれ、日本の海上保安体制は更なる発展を遂げようとしています。今後建造される国際業務対応・練習船も、日本の海洋安全保障に貢献することが期待されます。

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