この道 (映画)

映画『この道』：北原白秋と山田耕筰の波乱万丈の人生と名曲誕生秘話

2019年に公開された日本映画『この道』は、童謡詩人として名高い北原白秋と、作曲家として知られる山田耕筰の生涯を描いた感動巨編です。児童雑誌『赤い鳥』創刊100周年を記念して製作された本作は、昭和27年(1952年)の白秋没後10周年記念コンサートから物語が始まります。コンサートで演奏される代表作「この道」をきっかけに、山田耕筰は二人の出会いと交流を回想し、壮大な人生の物語が展開します。

映画は、明治から昭和初期にかけての激動の時代を背景に、白秋の奔放な私生活や、数々のスキャンダル、そして創造の苦悩を克明に描いています。若き日の白秋は、隣家の人妻に恋心を抱き、その関係が大きな社会問題に発展するなど、波乱に満ちた日々を送っていました。人気詩人として絶頂期を迎えながらも、姦通罪で逮捕されるという衝撃的な事件に巻き込まれるなど、人生の浮き沈みを経験します。

一方、山田耕筰との出会いは、白秋の創作活動に大きな転機をもたらします。当初は衝突もあった二人ですが、関東大震災を機に「傷ついた人々の心を癒やす歌を作ろう」と意気投合。その結果生まれたのが、日本の音楽史に輝く名曲の数々です。代表作「からたちの花」や「この道」は、ラジオ放送を通じて全国に広まり、国民的な愛唱歌として親しまれるようになりました。

映画では、北原白秋を大森南朋、山田耕筰をEXILE AKIRAが熱演。二人の名優による繊細かつ力強い演技は、観る者の心を深く揺さぶります。さらに、白秋を取り巻く人々、与謝野晶子、与謝野鉄幹、高村光太郎、萩原朔太郎、室生犀星など、当時の文壇を彩った錚々たる面々も登場。時代背景をリアルに再現した豪華キャスト陣も見どころの一つです。

また、本作は箱根の富士屋ホテルを舞台に撮影された日本映画としては初の作品という点も注目に値します。白秋ゆかりの地で撮影された美しい映像は、時代と場所の雰囲気を見事に表現しています。

『この道』は、単なる伝記映画にとどまらず、激動の時代を生き抜いた二人の芸術家の友情と創造の物語、そして名曲誕生の背景を丁寧に描いた感動的作品です。美しい音楽と名優たちの演技、そして歴史的な舞台設定が織りなす、忘れられない作品となっています。白秋と耕筰、二人の人生と、時代を超えて愛される名曲の数々を、ぜひ映画館で体感してみてください。

キャスト

北原白秋：大森南朋
山田耕筰：EXILE AKIRA
菊子：貫地谷しほり
松下俊子：松本若菜
記者：小島藤子
NHKラジオ第一回放送「からたちの花」歌手：由紀さおり、安田祥子
菊池寛：津田寛治
秦彦三郎：升毅
石川啄木：近藤フク
萩原朔太郎：佐々木一平
室生犀星：稲葉友
高村光太郎：伊嵜充則
大手拓次：松本卓也
鈴木三重吉：柳沢慎吾
与謝野晶子：羽田美智子
与謝野鉄幹：松重豊

スタッフ

エグゼクティブプロデューサー：間瀬泰宏
プロデューサー：宮田幸太郎、橋本剛実
監督：佐々部清
脚本：坂口理子
音楽：和田薫
主題歌：「この道」(EXILE ATSUSHI) 作詩：北原白秋 / 作曲：山田耕筰 / 編曲：武部聡志
* 配給：HIGH BROW CINEMA

この映画は、北原白秋と山田耕筰という二人の巨匠の人生と、時代を超えて愛される名曲の数々を、鮮やかに描き出した感動的な作品です。

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